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長野県 ・ 中継局


善光寺平テレビ・FM中継局  2005年6月、2007年9月、2017年11月(遠景)、2020年8月撮影


2020年8月撮影

善光寺平中継局は、長野市街地を見下ろす地附山(標高732m)山頂付近にあります。(平野部との標高差は、約300m)
以前は、東側のやや低い位置(旧戸隠バードライン料金所付近)にありましたが、1985(昭和60)年7月の地滑り災害で被害を受け、
半年後に仮復旧(NHKのみか、民放を含むのかは未確認)、さらに1年後の1986年12月に今の場所に移転新築されました。
(仮復旧までの間、長野市の一部地域などではテレビを見ることはできたのでしょうか?。)

ところで、調べているうちに、善光寺平中継局の歴史で興味深いことが分かりました。

長野県のテレビ基幹局は美ヶ原に置かれていることは、当Webを訪問くださる方々はご存じと思います。
善光寺平中継局は、その美ヶ原の基幹局が開局する前年1957(昭和32)年5月にNHK総合テレビが試験電波を発射し、
8月にNHK東京の中継局として開局しています。

基幹局の開局よりも約1年半も前に、長野市周辺ではNHK総合テレビを見ることができたことになります。

当時は、まだ北陸ルートのマイクロ回線が整備されていない時期ですので、地附山で東京の放送波(東京タワーもできる前です。)を
受信して中継していたものと思われます。(長野市内の一部地域で東京タワー波を見られることは広く知られていました。
多分、当時も興味のある人は個人でも見ていたと想像します。NTVやKRTも見られますし・・・。←多分。)

余談ですが、NHK金沢も金沢市近郊(旧 宇ノ気町)でNHK名古屋のテレビ電波を山岳回折で受信できる場所を見つけ、日本海側で
最初(1957年12月)に開局しています。

話を戻しまして、開局時はVHF波でしたが、1984年12月に教育・SBCとともにUHFに転換・増力(同時に場所も少し移動?)しました。
その半年後に、地滑り被害に見舞われ、さらに移転を余儀なくされました。

なお、教育テレビは、美ヶ原と同時の1962年11月の開局です。(SBCは1960年4月、NBSは1969年4月、TSBは1980年9月、
ABNは災害移転後の1991年4月の開局です。)
未確認の情報ですが、VHF時代の善光寺平のチャンネルは NHK−G 3ch、NHK−E 5ch、SBC 7chだったようです。

デジタル中継局は2006年10月に全社同時に開局しています。


善光寺平中継局は、長野市内を見下ろす場所にあるということは、各局本社最寄りの送信所ですが、長野県の場合、基幹局は遠く離れた
美ヶ原にありますので、そこからの電波を受けて再送信する中継局となっています。
ただし、NHK2波だけは、市内の放送会館から直接STLで電波を送っています。←アナログ時代。(なお、予備回線として美ヶ原の放送波も
受信しています。NHK−FMは、美ヶ原を親局にしています。←放送会館からのSTLはありません。)



2005年6月

2007年9月

2020年8月

ページが長くなりましたので、再編集し訪問日ごとの掲載にしました。

2005年6月 2007年9月 2017年11月(遠景のみ) 2020年8月

 


ところで、1985年7月の地滑り災害前の中継局のことを知りたくて、ネット上を探索してみました。

役所関係から出されたと思われる報告書(地質ニュース373号)に

『報道によれば 7月26日15時36分頃 松寿荘付近で地響きとともに土煙が上がった という通報があった。
17時20分 湯谷団地テレビ塔直下から崩落 17時35分 テレビのサテライト局下のバードライン崩落 松寿荘へ土砂流入
18時30分 松寿荘全壊 このような経過をたどって 地すべりが発生したのであるが・・・』

と云う記述を発見しました。

辺りでは土砂崩落など少し前から兆候があり、バードラインは既に閉鎖されていましたが、地滑りはテレビ中継局付近で最初に発生したようです。

報告書には、地滑り直後のテレビ中継局の遠景画像や地滑り発生前の付近の見取り図も掲載されており、中継局の場所も確認できます。

今回は、国土地理院のホームページで公開されている航空写真を元に災害発生前の1976年10月、災害発生直後の1985年7月、そして
2010年6月の様子を見比べてみます。


画像は「国土地理院ウエブサイト」からダウンロード なお、本来の画像を時計回りに90゜回転させてあります。(右が北、上は西です。)


災害前の1976年10月の様子です。
画像にマウスをあてると、2010年6月の画像になります。

中継局は、2か所に分かれていたようです。
画像にマウスをあてると災害直後の1985年7月の画像になります。

画像を見比べると、北側の高い位置にある中継局(黄色の丸)は、ギリギリ地滑りには巻き込まれていないようです。

 


中継局付近を拡大しました。 「報告書(地質ニュース373号)」にある画像では、2本の鉄塔が写っています。

当時の中継局の配置が分かりませんが、開局時期がバラバラなため、各社個別の設置の可能性が高いと思われます。

 

中継局データ

アナログ NHK総合 NHK教育 SBC NBS TSB ABN
チャンネル 44ch 46ch 48ch 42ch 40ch 50ch
出力 各局とも 200W

アナログテレビ放送は2011年7月24日をもって終了しました。

NHK−FM    85.7MHz   100W
FM長野      83.3MHz   100W
SBC FM     91.2MHz   100W


デジタル NHK総合 NHK教育 SBC NBS TSB ABN
チャンネル 28ch 32ch 36ch 34ch 22ch 24ch
リモコン
出力 各局とも 20W

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