送 信 塔 見て歩き
三重県 ・ 中継局

N様提供の画像で紹介します。


伊勢テレビ中継局  2023年2月撮影

伊勢中継局は、太平洋に突き出した志摩半島の最高峰、伊勢市朝熊町の朝熊ヶ岳(あさまがだけ)に設置されています。

朝熊ヶ岳へは、伊勢神宮の内宮付近と鳥羽市を結ぶ「伊勢志摩スカイライン」(有料)と云う観光道路が山頂付近を通っています。
山頂付近には、大きな駐車場や展望台もあり、初日の出スポットとして有名なようです。(戦前にはケーブルカーもあったそうですが、
線路が軍需物資として供出され、戦後は再開されなかったとのことです。)

当中継局は、駐車場や展望台のある場所からは、西へ約1km離れた「金剛證寺八大龍王社」の隣接地です。
(中継局がある辺りが朝熊ヶ岳の山頂<標高・555m>です。)


ここで、かつてのアナログ中継局の説明です。

開局は、CTVとMTVを除き1964年10月です。CTVは1969年6月、MTVは1974年12月です。
開局時期はバラバラですが、全社共用の中継局です。

送信アンテナは、2グループに分かれていたようです。上段がCBC・THK・メーテレ・MTVで形式は4D3段4面、
下段はNHK2波とCTVで、形式は6L1段4面です。

受信は全社送信点で、NHKとMTVは3波共用4mプレートパラボラにて青山固定局受け、予備にGは90CR2列にて長谷山受け、
Eは8素子八木にて名古屋テレビ塔受け、MTVは1.8mグリッドパラボラにて長谷山受け。
CBCとTHKは個別の6素子八木にて名古屋テレビ塔受け、メーテレは12素子八木にて名古屋テレビ塔受け、
予備に2.4mグリッドパラボラにて磯部中継局受け、CTVは1.8mグリッドパラボラにて名古屋・東山タワー受けです。

NHK−Gは、津放送局が県域テレビ放送を始めた1973年3月以前は、名古屋放送局の番組を中継していました。
当時の受信ルートについては未確認です。

NHK−Eでは、2000年3月に受信ルートを複数化しています。また、状況がハッキリしませんが、当中継局では1990年6月に
増力とパターン変更が行われているようです。

当中継局でアナアナ変更があったのかは未確認です。

2006年3月末にデジタル化されました。

それでは、現在の様子を紹介します。



ふもとから見た遠景です。 遠方からでも鉄塔がはっきり見えます。

 


拡大しました。

 


全景です。 なお、情報によれば、アナログ中継局は、手前の空き地部分にあったようです。

 

全景です。 デジタル中継局は全社共用で新築されました。

 

鉄塔の拡大を角度を変えて2枚。

 

送信アンテナは、4L2段4面が2セットです。 角度を変えて2枚。

組み合わせはNHK2波とMTVが共用(上段)、名古屋民放4社が共用(下段)です。

本来であれば、全波共用できると思いますが、当中継局では「NHK2波・MTV」と「名古屋民放4社」では出力が異なるので、
分けているものと思われます。

またよく見ると、県内局であるNHKとMTVのアンテナ(上段)はチルトしています。
 

アンテナが分かれていることを書いたついでに、デジタル時代になってからの当中継局の特異な位置付けについて書いておきます。

アナログ時代には、津市など伊勢湾沿岸地域では、生駒山からの大阪広域民放の番組を比較的簡単に見ることができました。

しかし、デジタルでは伊勢中継局がNHK−Gを除き生駒山と同一チャンネル(しかも、デジタル伊勢中継局は、大阪民放4社の
チャンネルと被る名古屋民放の4チャンネルは、アナログから減力せず100W出力となっており、露骨なスピルオーバー潰しが
行なわれています。←生駒山のNHKチャンネルと被る伊勢中継局のチャンネルの出力は10Wとアナログに比べ1/10の
通常の出力)のため視聴できなくなり、ガッカリしている人が多いとのことです。

 

局舎を角度を変えて2枚。

 


パラボラ群です。 


鉄塔のパラボラを拡大しました。

地上にもパラボラがあります。

当中継局への番組伝送は、NHK2波とMTVは共用3mプレートパラボラ2基によるスペースダイバシティにて青山固定局をTTL受け、
名古屋民放4社は共用3mプレートパラボラにて多気固定局をTTL受けです。

鉄塔のパラボラは向きから見て、上から多気固定局向き(名古屋民放TTL)、青山固定局向き(NHK・MTV TTL)、左の一回り
小さいものは長谷山向き(用途不明)と思われます。
また、長谷山方向には、グリッドパラボラと2列のリングアンテナも向いています。長距離LANの半球形アンテナも別方向を向いています。

右画像の地上のパラボラも青山固定局向き(NHK・MTV TTL)と思われます。(鉄塔のパラボラと対でSD)

 


リングアンテナの拡大です。

サイドローブアンテナもあります。

サイドローブアンテナは、北に向いているようです。瀬戸デジタルタワー受け?? その左上に、同じ向きの小型パラボラもあります。

 


ドーム型の可動式パラボラ群です。

ここにもパラボラがあります。

立地の良さからか、当中継局には各社がFPU基地局を設置しているようです。

 


モニターアンテナです。

 


電柱に局名表示があります。
  


ところで、当中継局にはA−PABが実験局を設置しています。

A−PAB等から出ている資料によると、将来の地上4K放送導入に向けてのフィールド実験を行っているようです。

中京地区では、名古屋の東山タワー(FM鉄塔)に親局を置き、NHK名古屋ラジオ基幹局(鍋田)と長谷山、そして伊勢中継局に
中継局を設置しています。
総務省の免許情報を見ると当中継局には25chと35chで出力10Wが免許されています。
また、A−PABの資料では、水平・垂直の両偏波が出せるようです。

局舎を角度を変えて2枚。

 


親切な表札があります。 施設が何か判って助かります。

 


局舎からケーブルがいっぱい出ています。

ケーブルの表示です。

2mパラボラ2基で長谷山からの番組(試験電波画像)を受けているようです。

 


ラックが地面を伸びています。また、GPSがあります。

 

こちらが、実験局の送信アンテナと思われます。 上下のアンテナで偏波面が違うのでしょうか?? 角度を変えて2枚。

 

ところで、上記画像でケーブルに表示されている「メインとサブの2mパラボラ」ってどれなんでしょうか。


右側の高い位置に2mと思われるパラボラがあります。

左画像の高い位置のパラボラは、この真ん中のパラボラでしょうか。

 


このパラボラも2mに見えます。

こちらのパラボラは、長谷山へ素材送りのパラボラのような気がします。

長谷山方向を向くパラボラが3基以上あり、どれかは未確認です。 なお、ラックが繋がっている地上のパラボラは、
ハイキング系サイトやグーグルストリートビューで見ると実験局開局前からあります。(ケーブルが通っているだけ。)

 

中継局データ

アナログ NHK総合 NHK教育 CBC THK メーテレ CTV MTV
チャンネル 53ch 49ch 55ch 57ch 61ch 47ch 59ch
出力 各局とも 100W

アナログテレビ放送は2011年7月24日をもって終了しました。


デジタル NHK総合 NHK教育 CBC THK メーテレ CTV MTV
チャンネル 29ch 13ch 16ch 15ch 14ch 17ch 24ch
リモコン
出力 10W 10W 100W 100W 100W 100W 10W

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