送 信 塔 見て歩き
三重県 ・ 中継局

N様提供の画像で紹介します。


大王船越北テレビ中継局  2023年2月撮影

大王船越北(だいおうふなこしきた)中継局は、場所の説明がしにくいですが、真珠養殖で有名な英虞湾の奥、
深谷漁港の北東側の高台に設置されています。住所は志摩市大王町船越です。

アナログ時代の当中継局は、NHK・名古屋民放4社・MTVのすべてが開局していました。
デジタルも表面的には同じですが、実は他では、あまり見かけない変則的なことになっています。
後ほど説明します。

まずは、かつてのアナログ中継局の説明です。

開局は、NHK・民放5社同時に1980年1月です。全社共用のミニサテ中継局です。(1995年3月に
設備を一新しているようです。以下は、その後の様子です。)

送信アンテナは、全社共用8素子リングアンテナ1段3面です。
受信は、約120m離れた場所で全社共用16素子リングアンテナ2列2段にて伊勢中継局受けです。


ところで、当中継局は当初デジタル化の予定がなく、2009年12月25日のプラン修正で、初めてNHKのみ
置局計画が発表されています。この段階では民放は置局不要となっています。(磯部中継局や南勢中継局で
カバーする予定だったようです。)

NHKデジタルは、2010年11月末の開局です。一方、民放は開局の予定はありませんでした。(費用対効果の問題か?)

しかしながら、やはり難視聴があるらしく地元自治会(?)などが組合を作り、民放を視聴できるようにするための
受信障害対策中継放送局(ギャップフィラー中継局)を立ち上げることになったようです。

民放中継局は、免許人を「船越テレビ共同聴視組合」として、NHKから2か月遅れの2011年1月末に開局しているようです。
(開局日が合っているのか、公式資料が見当たらず確認が取れていません。また、開局にまつわる資料も既にWeb上から
削除されているようで、詳しい経緯も分かりません。)

中継局の成り立ちが異なるため、NHKと民放の中継局は隣接地に別々に設置されています。

三重県では、デジタル化されず廃局になったアナログテレビ中継局がかなりありますが、この地区では、ケーブルテレビではなく
電波で対応したようです。(当施設は、現時点では、三重県唯一のギャップフィラー中継局です。)

アナログ時代には、すぐ近くに「大王船越南中継局」も設置されていましたが、こちらはギャップフィラー中継局を含め
開局していません。(当中継局にエリアが統合されたのかもしれません。)

説明が長くなりましたか、現在の様子を紹介します。



遠景です。

上記で、「この地区では、ケーブルテレビではなく電波で対応したようです。」と書きましたが、画像をよく見ると
ケーブルテレビの「タップオフ」らしきものが写っています。ケーブルテレビも通っているようです。
(松坂ケーブルテレビ・ステーションのエリアなんでしょうか?。)

 


鉄塔を拡大しました。 2基並んでいます。

 


NHK側から見た全景です。

民放側から見た全景です。

 

それでは、NHK中継局から紹介します。

全景と鉄塔を見上げてみました。

 

送信アンテナは、変則的な8素子リングアンテナ1段4面です。 角度を変えて2枚。

 

機器を角度を変えて2枚。

 


監視装置のアンテナです。

NHK中継局は、一般的に見かけるミニサテ局です。
  

ところで、受信アンテナが見当たりません。別の場所で受信していると思われます。

アナログでの受信場所だった「送信点から北西に約120m離れた住宅街の突き当り(崖の上か?)」をグーグルの航空画像で見ると、
北方向にアンテナが向いた施設が2つ並んでいるように見えますので、これから紹介する民放中継局を含め、デジタルでも同じ場所で
受信しているようです。 (車が入って行けない場所なのか、グーグルストリートビューでは見られません。)

受信は、伊勢中継局を放送波受けと思われます。(民放のチャンネルは、伊勢中継局と同じなので間違いないと思います。
↑記憶に間違いなければ、ギャップフィラー中継局は、SFN送信だったはずです。)
 


続いて民放中継局です。


全景です。

 

送信アンテナです。NHK中継局と同じ形状です。

 

機器は、柱の両側に取り付けられています。(すべてマスプロ社製の機器です。) 両側から撮影しました。

 


「トランスミッター」と書いてありますので送信機ですね。

「ステータスモニター」と書いてありますので、監視装置のようです。

 


「パワーインジェクター」とありますので、2分岐型の電源挿入器のようです。
  

ギャップフィラー中継局には、補助金も出ているようで各機器にはシールが貼ってあります。

両中継局は、出力が同じ0.05Wですが、民放中継局は簡易的な設備となっているのが分かります。

 

中継局データ

アナログ NHK総合 NHK教育 CBC THK メーテレ CTV MTV
チャンネル 36ch 34ch 38ch 46ch 44ch 42ch 40ch
出力 各局とも 0.1W

アナログテレビ放送は2011年7月24日をもって終了しました。


デジタル NHK総合 NHK教育 CBC THK メーテレ CTV MTV
チャンネル 50ch 52ch 16ch 15ch 14ch 17ch 24ch
リモコン
出力 各局とも 0.05W

アナログと比べ実質5倍の増力ですので、アナログ時代の大王船越南中継局エリアもカバーしているのかもしれません。(未確認です。)

なお、当デジタル中継局では、NHKの放送はNHK自身が免許を受けていますが、民放各社の放送の免許人は「船越テレビ共同聴視組合」です。
(総務省の「免許情報」で確認済み。)


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