送 信 塔 見て歩き
山形県 ・ 中継局
小国テレビ・FM中継局 2011年8月撮影
小国テレビ中継局は、山形県南西部の新潟県境に近い小国町一体をカバーする中継局です。
中継局は町の中心部からは北西側の沖庭山の中腹にあります。この地域は、西蔵王からの電波が弱く、
各社とも親局受信に苦労しているようです。そんな中、特徴的なのはYBCの大きな受信パラボラでしょう。
小国テレビ中継局の遠景です。手前は、YBCラジオ中継局です。
YBCの大パラボラは、画像の一番右です。また、その上方には反射板も見えますが、放送関係ではないようです。
送信点を拡大しました。(最初の画像とは別の位置からの撮影です。)
左から、YTS、YBC、NHK−FM鉄塔、TUY&SAY共用、NHKテレビです。各中継局は中腹部に点在しています。
ふもとの別々の位置から見たパラボラの拡大画像です。 |
実は以前、このパラボラについて情報提供を受けていましたが、何なのかよく分からず1年以上放置しておりましたが、
最近(2011年7月)になって山形基幹局放送波受信パラボラと知り驚きました。
小国中継局は、NHKとYBCのアナログチャンネルがVHFであることから、古くからの中継局と推察できます。
(ちなみに開局は、NHKは1964年1月、YBCは1965年9月、YTSは1975年9月、TUYは1995年10月、SAYは1999年12月です。)
YBCと云えば、直接見通せない山形から鶴岡へ電波を送るために、両方を見通せる新庄経由で中継したりと、斬新な発想をする放送局ですね。
山形でもアナログテレビ放送は終了していますので解体される運命なのでしょうか。解体前に見ておきたいものです。
と云うわけで、お盆休みを利用して急遽見てきました。 アナログ終了直後でしたので、まだ解体されておらず助かりました。
それでは、ふもとからの訪問順に紹介します。
YBC山形基幹局受信パラボラ
未舗装ながら歩きやすい林道を登って行きます。途中、小国町を見渡せるところが何か所かあります。
かなり登ったところで、怪しい脇道がありました。
下っていくと突然コンクリート壁が現れ、さらに進むとパラボラがありました。
足元です。 崖側はコンクリートで囲まれ、頑丈な作りになっています。 |
脚の中間部に機器が乗っています。 |
受信素子部です。 |
別角度から。 |
パラボラの横に2列2段のリングアンテナがあります。 多分、基幹局受け予備アンテナと思われます。 積雪対策でしょうか、八木アンテナではありません。 |
パラボラが向いている方向です。基幹局を見通せないはずですので、山岳回折を利用しているものと思われます。
ちなみに、他社のアナログ伝送ルートは、NHKが小国固定局経由、YTSが宇津固定局経由、TUYとSAYは、
それぞれ山形基幹局放送波受け(6mパラボラ)です。他社も相当苦労しているようです。
YBCは受信位置と送信位置が大きく離れています。(送受信チャンネルが隣接しているため、回り込み防止のためと思われます。)
もし、パラボラを撤去するとなると、林道からは、かなり下と思われますし、樹木で隠れていますので解体して運び出すのも大変そうです。
なお、YBC中継局(送信点)の紹介は3つ後です。
ところで、当中継局がデジタル化されたのは、NHK・YBCの2社3局は2006年12月、TUY・SAYの2社は2007年10月、
YTSはさらに遅れて2008年12月です。各社とも、アナログ中継局を継続利用です。
NHK中継局
NHK中継局は林道を登り切り、脇に入った広場のようなところにありました。局舎屋上鉄塔には、テレビアンテナやパラボラがあります。
FMのアンテナは、近くに独立した鉄塔がありました。
全景です。 |
局舎です。 |
アナログアンテナとアナログ・デジタルの受信パラボラです。 |
先端はデジタルアンテナです。 |
アナログアンテナの形式は、G・E個別にSG1段2面です。(上段がGです。)
受信は、アナログでは、2波共用2mプレートパラボラにて小国固定局SHF受けです。
デジタルも2波共用2mプレートパラボラにて米沢天元台中継局を放送波受けです。
デジタルアンテナは、2波共用4L1段3面です。 |
表札です。 |
FM鉄塔は、大きなパラボラの横にあります。 (パラボラはも後ほど説明します。) |
NHK−FMの送信アンテナは、3素子八木2段2面です。 |
なお、NHK−FMの受信アンテナは、約200m離れた地点で、5素子八木2列2段にて山形基幹局受けです。
FM鉄塔に銘板がありました。 |
こちらは、YBC中継局へ向かう途中で見えた、 NHK・TUY&SAY中継局です。 |
TUY・SAY共用中継局
TUYとSAYの共用中継局はNHKと同じ広場にあります。この2局が共同で中継局を設置しているのは、珍しいのではないでしょうか。
なお、局舎・送信アンテナは共用ですが、アナログ親局受信アンテナは別々です。
全景です。 |
局舎です。 |
鉄塔です。送信アンテナは、2社デジアナ共用4L1段3面です。
壁面に2社のロゴがあります。 |
表札も2枚あります。 |
位置関係はこうなっています。 |
別角度から。 |
TUYの西蔵王(基幹局)受け6mグリッドパラボラです。 |
パラボラ鉄塔に銘板がありました。 |
SAYの6mグリッドパラボラです。 |
別角度から。 |
アナログ受信アンテナは、TUYは局舎近く、SAYは林道を登り切った位置(少し高い場所)に、それぞれ6mパラボラがあります。
両者が約60m離れているのは、電波状態が違っていたからでしょうか?。
なお、デジタル受信アンテナは2社共用3mプレートパラボラが局舎の鉄塔に付いていました。米沢天元台中継局放送波受けです。
また、SAYはアナログ用の6mパラボラで西蔵王を予備で受けているようです。
YBC中継局
YBC中継局の送信点は、林道を登り切ったところからUターンして下るような形になります。
道がこれしかないので進みますが、降りていくので、この先に中継局があるのか不安になります。
鉄塔です。 3mプレートパラボラはデジタルの 米沢天元台中継局放送波受けです。 |
局舎です。かなり古そうです。 |
アンテナ鉄塔です。 |
送信アンテナです。 |
別角度から。 |
送信アンテナは、 デジタルが4L1段3面、アナログが2素子リングアンテナ1段2面です。
デジタル受信アンテナは、送信鉄塔に設置されています。 デジタルでは受信アンテナは送信点にあります。
送信用のVHFリングアンテナを初めて見ました。珍しい形式と思われます。こちらも積雪対策でしょうか?。
注)ちょうど、最新の「RFワールド No15」(CQ出版社)のテレビ放送アンテナ開発史の記事に、「アンテナ種類別設置局数一覧」がありました。
やはり送信用のVHFリングアンテナは、少なく全国でわずか11箇所です。
(2003年時点の数字ですので、アナログ終了時点では、さらに少ないかもしれません。)
このYBC中継局は相当貴重ですよ。
ところで、受信点と送信点は、道がくねくねと曲がっていて相当長く感じますが、直線距離では、それほど離れていないような気がしてきました。
(資料では、350mとあります。)
YTS中継局
YBCまで訪問して、まだYTSを見ていないことに気付きました。
YBCと共用かと再確認したり、YBC近くの無線局舎を観察したりしましたが、どちらも違うようです。
どうしたものかと思いながら、道が続いていたので、さらに降りてみました。すると業務用無線局があり、その先にも建物が見えます。
その建物がYTS中継局でした。
全景です。木立に隠され近くまで行かないと 存在が分かりません。 |
別角度から。 |
中継局は広場のような場所にあります。YTS中継局は他社とは大きく離れています。
(道がくねくねしているだけで、実際は近いのかもしれませんが・・・。)
局舎です。3階建てです。 |
扉に表示がありました。YTSと確認できました。 |
アンテナです。 こちらも4L1段3面です。 |
別角度から。 |
地面にパラボラが建っています。 |
反対側から見るとこうなります。 |
局舎横にデジタル受信パラボラが新設されていました。
アナログ(奥)とデジタル(手前)の向きが微妙に異なって見えます。 |
パラボラ鉄塔に銘板がありました。 |
アナログ受信パラボラは、4mプレートパラボラで宇津固定局SHF受けです。
デジタルの3mプレートパラボラが向いている方向です。
デジタルは、米沢天元台中継局放送波受けです。
沖庭山の中腹には、放送中継局のほか通りすがりに、3つの業務用(?)無線局を見掛けました。
また、ふもとから反射板も見えましたが場所は確認できませんでした。(時間もなかったので深入りしませんでした。)
電力線は道路下に埋設してあります。全線一度掘り返したと思われます。そのためか、砂利道ながら歩きやすいです。
中継局データ
テレビ | NHK総合 | NHK教育 | YBC | YTS | TUY | SAY |
チャンネル | 9ch | 2ch | 11ch | 39ch | 41ch | 43ch |
出力 | 30W | 30W | 30W | 100W | 100W | 100W |
アナログテレビ放送は2011年7月24日をもって終了しました。
デジタル | NHK総合 | NHK教育 | YBC | YTS | TUY | SAY |
チャンネル | 27ch | 25ch | 31ch | 38ch | 33ch | 45ch |
リモコン | 1 | 2 | 4 | 5 | 6 | 8 |
出力 | 各局とも | 10W |
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