送 信 塔 見て歩き
北海道 ・ 中継局
画像は、N様提供です。


標茶ルルランテレビ中継局  2025年9月撮影(N様提供)

標茶(しべちゃ)ルルラン中継局は、川上郡標茶町ルルラン(そう云う住所です。)に設置されています。
JR釧網線・標茶駅の南、約2kmの高台です。

『ルルラン』とは、アイヌ語が語源で『坂の降り口』と云う意味だとネットでは解説されていますが、
直訳調で、今一つ分かりません。「下り始めの場所」と云う意味なのでしょうか?

それはともかく、最初に当中継局のアナログ時代の様子です。

アナログ時代の当中継局は、NHKのみの目立たない存在でした。1972年11月の開局です。
送信アンテナは個別の4L1段1面(上段がG)です。受信は送信点で共用3mプレートパラボラにて標茶中継局受けです。

デジタル放送では、当中継局のサービスエリアは釧路局または中標津中継局でカバーする予定で、デジタル中継局は
非該当となっていました。

しかし、標茶町中心部など一部地域で難視聴が発覚し、2009年6月に置局計画が修正され、当地にNHKだけでなく
民放も開局することになった経緯があります。
2010年12月にTVhを除く各社が同時に開局し、TVhは2016年3月末に開局しました。

なお、TVhは当中継局の開局をもって中継局の整備を一旦完了したということです。実に開局から27年で他社並みに
視聴できるようになりました。
(注・ 十勝管内で他社と比べ2局の未開局があり、うち1局は2026年に開局予定らしいです。)

それでは、N様提供の画像で紹介します。


ふもとから見た遠景です。

 


中継局を拡大しました。

 


全景です。

HTBが発行している『2011地域メディア活動報告書』と云う冊子によりますと、当中継局はHTBが幹事社として建設したとのことです。

 

鉄塔を角度を変えて2枚。 大きなパラボラが目立ちます。

 

送信アンテナを角度を変えて2枚。

 


敷地の様子です。

 

全社共用局舎を角度を変えて2枚。

 


表札です。 TVh開局時に張り替えられているようです。

 

NHK局舎を角度を変えて2枚。

 


なぜ、NHKの表示がある局舎が2棟あるのか謎ですが、資料が無く状況は不明です。

 

グリッドパラボラを角度を変えて2枚。 ちょうど180゜の方向を向いています。

このエリアは当初、釧路局と中標津中継局の両方でカバーする予定でしたので、どちらの電波も受信できそうです。

このパラボラ、片方が主で、もう一方は予備なのでしょうか、それとも、局ごとに親局が違うのでしようか。資料が無く状況は不明です。

当方の勝手な予想では、NHKは中標津受け、民放は釧路受けではないかと・・・。 


ラックです。

NHKのものと思われます。


鉄塔のモニターアンテナです。

 

鉄塔基部と銘板です。
 

ところで、アナログ時代、当地域には当中継局から北へ約21km離れた場所に標茶中継局が設置されていました。
こちらにはデジタル化の予定がありましたが、標茶ルルラン中継局をデジタル化する流れの中でデジタル化が取り消され、廃局になりました。

ここで、標茶中継局のアナログ時代の様子を書いておきます。
設置場所は標茶町虹別です。弟子屈町と別海町を結ぶ国道243号(通称・パイロット国道)沿い、萩野集会所の西 約650m辺りになります。
(グーグルストリートビューで見ると萩野ヶ丘墓地公園の入口にあたる場所のようで、今も無線局が2つあるように見えます。)
平地のど真ん中で電波が遠くまで飛びそうな場所です。

デジタルでの難視聴は、標茶町中心部など狭い範囲なので、ここにデジタル中継局を設置しなかったことに納得しました。
また、アナログ時代に一部の社が中継局を設置していた理由も分かったような気がします。

標茶中継局から電波を出していたのは、NHK2波とSTV、HTBの3社と変則的でした。
これは、1960年代から70年代前半の時代、この地域の中継局は、開陽台の標津中継局のみだったことが
影響していると思われます。

その後、妹羅山から強力な電波を発射することで、この地域がカバーされたため、UHBは、虹別に置局しなかったと思われます。
HBCについては当時の事情がはっきりしません。(標茶辺りまで釧路中継局でカバーできていたのかもしれません。)

結局、各社とも妹羅山に中継局を設置しましたが、STVとHTBは開陽台を閉局しなかったためなのか、出力が他社の2KWに
対して30Wと弱く、依然として標茶方面には電波が届いていなかったと思われます。

標茶中継局の開局はNHKが1969年6月、STVが1971年11月、HTBが1973年11月です。設備を書いておきます。
中継局はNHKと民放の2つに分かれていました。

送信アンテナは、どちらも6L2段2面で、どちらも2波共用です。
受信は、NHK−GとSTVは送信点で個別の8素子八木2列、NHK−Eは南西へ約150m離れた地点でロンビックアンテナ、
HTBは送信点で1.8mグリッドパラボラにて全局釧路受けです。

グーグルストリートビューで見た受信アンテナがあった場所です。  南方向は、ずっと平地で釧路方向が見通しのようです。
 


NHK−Eの受信で使われているロンビックアンテナは、初めて聞く名前のアンテナです。どんなものなのか、ネットで調べてみました。

「ロンビック」は、日本語では「ひし形」のことですので、アンテナは、ひし形をしています。

このアンテナの特性は、アンテナのエレメント(導体)上を波が反射せずに「進行波」として伝搬し、アンテナの終端で信号が
吸収されることです。一辺の長さを長くするほど、またそれに応じて、ひしの角度を狭くして細長くする程、指向性は鋭くなります。
(一辺の長さが波長に比べて短い場合は、角度を狭くしても効果がないということです。)

簡単な構造の割には、指向性を鋭くできるようです。ただ、アンテナが大きくなるのが欠点ですね。

wikipediaには、かつてのアナログ中継局の画像が掲載されており、その画像の右側にロクビックアンテナの一部が写っているような気がします。

現役時代にどんなアンテナだったか、見たかったですね。
 


中継局データ(標茶ルルラン)

アナログ NHK総合 NHK教育
チャンネル 44ch 46ch
出力 各局とも 3W

民放各社は、中継局を設置していませんでした。

アナログテレビ放送は2011年7月24日をもって終了しました。


デジタル NHK総合 NHK教育 HBC STV HTB UHB TVh
チャンネル 16ch 13ch 22ch 14ch 18ch 20ch 24ch
リモコン
出力 各局とも 0.3W

 

中継局データ(標茶)

アナログ NHK総合 NHK教育 STV HTB
チャンネル 51ch 49ch 55ch 57ch
出力 各局とも 30W

HBC、UHB、TVhは、中継局を設置していませんでした。

アナログテレビ放送は2011年7月24日をもって終了しました。当中継局は、デジタル化されず、廃局になりました。


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