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北海道 ・ 中継局
画像は、N様提供です。


中標津 NHK−FM中継局  2025年9月撮影(N様提供)

中標津NHK−FM中継局は、標津郡中標津町俣落の開陽台に設置されています。

当地にはアナログ時代に一部放送局が中継局を設置していました。その後、妹羅山へ引っ越した局と
アナログ終了時まで置局していた局とに対応が分かれましたが、当地にはデジタル中継局は設置されず、
最後まで残っていた局は廃局となりました。

現在は、NHK−FMのみの中継局となっています。開局は1965年12月です。
(民放FMは、中標津には中継局を設置していません。)


現在の様子の紹介の前に、かつてのアナログ中継局の様子を説明します。なお、不明点があり、一部想像で書いている
部分があります。誤りはご容赦ください。

当地では、NHK−Gが1961年12月に開局したのが最初で、Eが1962年6月、STVが1964年10月、
HBCが1965年11月、HTBが1973年11月と続きます。これらのチャンネルは、すべてVHF、出力は250Wです。
(札幌親局がUHFのHTBがVHFで開局しているのは謎です。←同時期にUHBはUHFで妹羅山に開局しています。)

ただ、開陽台からの送信では、標津町北部へ電波が届きにくいため、NHKでは妹羅山に1972年12月に
UHF中継局を設置しました。NHKは補完的な中継局だったため弱い出力←30W? だったようです。

その後、NHKは2か所からの送信よりも妹羅山からのみの送信がよいと考えたのか、1977年10月に開陽台を廃局し、
妹羅山に集約しました。この時、妹羅山の局名を中標津中継局と改称し出力も2KWに増力しました。

開陽台に残るHBC・STV・HTBも満足なサービスエリアを確保できないと思ったのか、1979年11月に妹羅山に
UHF中継局を開局しています。
この時、開陽台の局についてHBCは廃局としましたが、STVとHTBは継続としました。
(STVとHTBが開陽台を継続したのは、標茶中継局との絡みがあるようです。特にHTBでは、開陽台と標茶は同日開局です。)

その結果、アナログ終了時まで開陽台から電波を出していたのは、STVとHTBのみと云うことになりました。

アナログ終盤の当中継局の様子についてです。
2社の送信アンテナは、それぞれ別鉄塔の90CR4段1面+90CR2段1面(どちらの方向も垂直偏波)の構成です。
受信は両社とも西側に約180m離れた道路下の少し低い場所で個別の2.4mグリッドパラボラにて標茶中継局受けです。

なお、早くに移転廃局のNHKとHBCの中継局については、当時の様子は不明です。
 

国土地理院が保有する古い航空画像には、当時の様子が記録されています。


1978年10月撮影の中継局の様子です。 提供・国土地理院
 

1970年9月撮影の中継局の様子です。 提供・国土地理院
こちらは、HTB開局前です。

 

1978年画像のそれぞれの中継局の拡大です。提供・国土地理院

一番北にあったのはHBCです。

HBCの南には、左・HTB、右・STVです

この2社は、局舎は共用、鉄塔は大きなVHF用90CRを2社分取り付けられなかったのか別々です。
右側の局舎に隣接する鉄塔がSTVです。

 


一番南はNHKです。 北・局舎とテレビ塔? 南・FM塔

こちらは、西に少し離れた場所(一番上の画像の左上隅)にある受信アンテナです。

左の大きなアンテナはHBCのものと推測します。
その右の離れた場所に2基並んでいるのがSTVとHTBの
受信アンテナと思われます。


 

それでは、N様提供の画像で現在の様子を紹介します。


展望台に隣接する駐車場から見た遠景です。

 


少し別の角度から。
  

当中継局には、鉄塔が2基あり、北側の局舎横の鉄塔は、現在は受信アンテナ用として使用し、南側の鉄塔はFM送信用です。

状況がはっきりしませんが、ここにテレビ中継局が設置されていた当時は、局舎横の鉄塔にはテレビ送信アンテナが
設置されていたと想像します。
 

まずは、北側の局舎とその鉄塔を紹介します。


全景です。

 


敷地の様子です。

 

局舎を角度を変えて2枚。

 

鉄塔を角度を変えて2枚。

 

取り付けられている八木アンテナ群を角度を変えて2枚。

手元の資料では、受信は5素子八木2列1段で釧路基幹局受けなのですが、これは一体???。電波状況が悪くなったのでしょうか。

 

鉄塔にある大小2基のパラボラの拡大です。未確認ですが、大きいほうは根室ラジオ中継局向き
小さいほうは中標津ラジオ中継局向きと予想します。(ラジオ番組回線の送り)

 

鉄塔基部と局舎と鉄塔を繋ぐラックです。

 


モニターアンテナとテレビ受信アンテナです。

局舎のロゴです。 よく見ると塗り直された跡が分かります。

 

続いて、FM送信アンテナが取り付けられている南側の鉄塔です。

全景を角度を変えて2枚。

 

送信アンテナを角度を変えて2枚。

形式は、2D6段1面+2D3段1面(どちらの方向も垂直偏波)の構成です。

 


こちらの鉄塔にもパラボラがあります。

資料が無く詳細は不明ですが、西春別固定局受けかもしれません。
 ↑ 送受信とも対向先は勝手な想像です。鵜呑みにしないでください。

釧路放送局からの番組伝送は、以前は当地まではVHFだったようですが、
近年マイクロ波に変更されたようです。

 


周りはフェンスに囲まれています。

鉄塔下部の様子です。

 


昭和40年は1965年ですのでFM開局当初からのものです。
このことからも、もう1基の鉄塔がテレビ送信アンテナ用だと判断しました。
 


展望台から見たNHK−FM中継局の遠景です。(グーグルストリートビューより)

画像を北方向(左方向)に動かすと、民放中継局の撤去済みが確認できます。
 

こちらは、かつてアナログテレビ親局受信アンテナが設置されいてた場所の方向です。(グーグルストリートビューより)
 

 

中継局データ

アナログ NHK総合 NHK教育 HBC STV HTB
チャンネル 4ch 12ch 10ch 6ch 3ch
出力 各局とも 250W

NHKは1977年10月に、HBCは1979年11月に、それぞれ妹羅山へ移転しました。

なお、HBCの移転日がNHKと同日と云う情報もありますが、1978年10月に国土地理院が撮影した航空画像に
写っていますので、まだ移転していないと判断しています。(廃局後、放置の可能性もありますが・・・。)。

UHBとTVhは、当地に中継局を設置していません。
なお、当地にUHBが中継局を設置していたという情報がありますが、確認できていません。
(当地からUHFが送信されていたとは考えにくいです。)

アナログテレビ放送は2011年7月24日をもって終了しました。 当中継局は、デジタル化されず廃局になっています。


NHK−FM 中標津中継局   89.9MHz  1KW


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