送 信 塔 見て歩き
沖縄県 ・ 中継局


RBC・ROK 名護ラジオ中継局  2009年2月 撮影、一部2012年3月撮影、2018年2月撮影(U様提供)

沖縄本島北部をカバーする民放AMラジオ2社の中継局です。名護市の多野岳山頂部にあります。

この地域は夜間、外国電波の混信でAMラジオは受信しにくいため、FM電波で中継放送を行っています。
民放2社は1990年代に、基幹局の出力を5KWから10KWへ増力し、受信改善を図りましたが、北部地域では
効果がなかったようです。当中継局は、2001年に開局しました。


すぐ近くにある「三角点」から見た中継局の全景です。

 


進入路から見た全景です。

 

全景です。 パラボラが2方向に付いています。  角度を変えて3枚。

 

局舎を別角度から2枚。

 


表札です。

フェンスにこんな案内板もあります。

この設備は、なにやら難しい名前の補助事業で建設されたようです。

 

鉄塔部を角度を変えて2枚。

 

FM送信アンテナです。 角度を変えて3枚。

4面すべてにエレメントがあります。 北東・北西の北側が2段、南東・南西の南側が1段の構成です。

 

パラボラは、北西向き(今帰仁方向)に1基、南西向き(那覇方向)に2基あります。 角度を変えて3枚。

 


今帰仁向きのパラボラの拡大です。

 


八木アンテナが2か所にあります。
1つ目の局舎上のものは、北東方向に向いています。

同じく2社のFM中継局である「国頭ラジオ中継局」を
モニターしているのでしょうか?。
 


2つ目、那覇方向にも2列の5素子八木アンテナがあります。

2012年3月沖縄訪問時に、国道58号線沿い(名護市伊差川)のコンビニ駐車場から見た多野岳山頂方向です。


早朝のため逆光で申し訳ありません。 ラジオ鉄塔のほか、建物や他の業務用鉄塔が見えます。

 


ラジオ鉄塔を拡大しました。

 

こちらは、大宜味村塩屋地内から見た、多野岳です。

 


さらに山頂部を拡大しました。左に名護ラジオ中継局(民放)が見えます。

 

大宜味村の道の駅近くの海岸から対岸を撮影すると、ラジオ塔が写っていました。


左の山は、八重岳です。右下にあるのは、NHK名護ラジオ中継局と思われます。

なお、現場でラジオ塔に気付かなかったため、これ以上大きな画像はありません。


ここで、U様から提供いただいた2018年2月撮影の最新画像を紹介します。

比較のため、以前に当方が撮影した画像も並べて掲載します。


こちらは、当方が2009年2月に撮影したもの

U様提供の2018年2月撮影の画像です。

先端部に電波監視システム(DEURAS・デューラス)のアンテナが設置されています。 また、小型のパラボラが増えています。
それ以外は、変化が無いようです。


再び、2009年2月撮影のものに戻ります。

多野岳は、見通しが良いため、各種無線局も設置されています。合わせて紹介します。

これら3つは、ラジオ中継局付近にあります。所属は未確認です。

 


少し低い位置に集まっています。これらの所属も未確認です。

左記画像の真ん中の鉄塔の拡大です。

業務用アンテナは詳しく見て回りませんでしたが、その中で2つの設備が気になりましたので紹介します。


海上保安庁の無線局です。

パラボラ部を拡大しました。

別角度から。

  


局舎です。

表札があります。 所属は書かれていません。

この日は、メンテナンス中でした。 

 


案内板がありました。

この無線局が何なのか気になり調べたところ、慶佐次 ロランC局と第十一管区海上保安本部とを結ぶ中継所であることが分かりました。

上記の看板によれば、千葉県にあるコントロールセンターで制御しているようです。

 


2012年3月にふもとから撮影した遠景です。 当無線局は真ん中です。


ここで、ロランCについての説明です。

ロランC局は、元々 アメリカ沿岸警備隊によって運用されていましたが、米国での運用廃止に伴い1993年7月に日本の海上保安庁へ
移管されました。

ロランCは、船舶が自船の位置を知るために用いられるシステム(電波航法<測位>システム)で、複数の送信局が同じ周波数
(長波・100KHz)で同期発射する信号の到達時間差を利用して位置を割り出します。(電波の灯台 or 海上GPSみたいなものでしょうか?)

日本では、東京都の硫黄島(のちに新島に代替)、南鳥島、北海道の十勝太、沖縄県の慶佐次に送信局が設置されていました。
これらの局で日本周辺の約2,000kmの範囲をカバーしていました。(測位精度は約500mとのことです。 ←何もない海上であれば
問題のない誤差ですね。)

しかしGPSが普及したことで利用船舶が減少し、順次廃局となり、最後まで残っていた慶佐次局も2015年2月1日午前9時をもって
運用を終了したと云うことです。


ロランC局を偶然にも上空から撮影していました。  2009年12月29日・JTA機から撮影。

 


拡大しました。  こちらが、多野岳中継局パラボラ対向の「慶佐次ロランC局」です。

この慶佐次ロランC局も訪問したかったのですが、時間の都合で放送関係の設備を優先し、やむなく断念しました。

北海道・十勝太局も近くを通ったことがありますが同様に断念しました。こちらも廃局済みです。



こちらは、NTTの無線局です。

表札です。

 

  
フェンスの前に「本土・沖縄間 OHマイクロ回線 記念之碑」なるものがありました。
回線図によると「鹿児島−牟礼岡−大浦−朝戸−油井−多野無線中継所−首里」と繋がっています。

 

  
部分拡大です。

 

碑文を要約すると

「OHマイクロ回線は、昭和39年9月に開設され、東京オリンピックの
テレビ中継では、沖縄百万県民は、地理的・時間的条件を越え、
本土との一体感に感動した。
このOH回線が沖縄の政治・経済・文化の発展に果たした役割は
大きい。」

と書かれいます。

 

また、OH回線は、昭和59年3月に使命を終え、別の通信方式に
変更されたようです。

この石碑は、OHマイクロ回線の終了後の昭和61年(1986年)12月に関係者が、歴史的意義を後世に伝えるために建てられたようです。

「沖縄タイムスギャラリーショップ」に当中継局の画像サンプル(1970年撮影)があります。

北向きの大きなパラボラが2基あったようです。


OH方式について
OH方式とは、見通外(送信点から見て水平線より下の地点)通信方式のことで、散乱または回折により伝搬させます。
離島など送信点と受信点との間に中継所が設置できない場合には有効な通信方式です。

鹿児島・沖縄間では、まず奄美大島の復帰に伴い、1961年に「鹿児島−奄美大島」間の電話回線が見通し外通信
方式により開通しました。この区間は「大浦−名瀬」間342kmを途中の「中之島 御岳」での山岳回折を利用。

また、1964年9月には、さらに改良された方式により「油井−多野」間215kmを、同じく「徳之島 井之川岳」
山岳回折により、沖縄まで「白黒テレビ中継回線」が開通しました。

参考資料 「NTT技術史料館」 ← リンク切れ



多野岳の山頂のすぐ下です。この道路を進むとホテル(画像左上の建物)があります。

 


ここの施設の案内板です。
 

多野岳山頂部は、ホテル・キャンプ場・テニスコート・パークゴルフ・プールなどを
備えた、レクリエーション施設があります。以前は、「いこいの村おきなわ」という名の
公共施設だったらしいですが、今は、「ホテルタニューウェルネスリゾートオキナワ」
という民間ホテルになっています。『沖縄で一番空に近い宿』がキャッチフレーズです。

 

注・「ホテルタニューウェルネスリゾートオキナワ」は、その後、名護市との賃貸契約が
  終了し、2011年末をもって営業を終了しています。

ラジオ中継局は、ホテル敷地外にありますがプールとレクリエーションホールの間の道路を通っていく必要があります。
三角点は、レクリエーションホールの北側です。


山頂の三角点を別角度から2枚。
左の写真の奥の建物は、レクリエーションホール。 右の写真の奥の建物は、ホテル本館です。

 

中継局データ

RBCラジオ  82.6MHz  100W
ラジオ沖縄
  80.1MHz  100W


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