送 信 塔 見て歩き
鹿児島県 ・ 中継局
H様提供の画像で紹介します。


徳之島 テレビ・FM中継局  2019年2月撮影

徳之島中継局は鹿児島県大島郡徳之島町の井之川岳にあります。島の中央部です。

最初に、かつてのアナログ中継局の説明です。
開局は、NHKが1966年1月、MBCとKTSが1978年11月、KKBが1992年3月、KYTが1997年12月です。
NHKと民放の2グループに分かれています。また、民放では、鉄塔は共用ですが、局舎が手狭なのか建て増した部分に
後発の2社が入っています。

送信アンテナは、NHKは2波共用2L3段3面、民放は4社共用6L2段3面+3mグリッドパラボラの構成です。
(民放のグリッドパラボラは多分、沖永良部島・知名中継局を意識したものと思われます。)

受信は、NHKは約600m離れた地点で個別の8素子八木2列にて奄美大島の瀬戸内中継局受け、MBCも約630m離れた
地点で、2D2列4段にて同じく瀬戸内中継局受け、KTS・KKB・KYTの3社も約630m離れた地点で共用4mグリッドパラボラ
にて瀬戸内中継局受けです。
「2Dアンテナ」を受信に使うと云うのをはじめて聞いたような気がします。大型90CRのアンテナ素子が2本あるような形なのでしょうか。
どんなアンテナなのか、一度見てみたかったですね。

2008年11月に全社同時にデジタル化されました。

当中継局には、NHK−FM中継局がテレビ中継局に併設されています。開局は1973年11月です。

送信アンテナは、3素子八木1段3面、受信はテレビと同じ場所で5素子八木にて瀬戸内局受けです。
FM鹿児島は中継局を設置していません。

それでは、現在の様子を画像で紹介します。


まずは、全景をパノラマ画像でどうぞ。 左側にNHK、右上方に民放です。


それでは、NHKからです。


全景です。
 
鉄塔を拡大しました。 八木アンテナが、たくさん付いています。

当中継局では、アナログ終了後の2017年12月1日に中波ラジオの補完波としてFM中継局が開局しました。
そのアンテナも取り付けられています。

 


局舎です。

ところで、画像を見てお気付きかと思いますが、これまで全国各地で見た中継局と大きく異なる点があります。

それは、頑丈なコンクリート壁に囲まれていることです。通常の中継局は、金属フェンスか、囲いが無い所さえあります。

では、徳之島のこの形状は何なのでしょうか。
実は、徳之島には沖縄本島と同じように「ハブ」が生息しているそうで、その侵入を防ぐためのことです。
でも沖縄では、こんな構造の中継局は見たことがありません。徳之島のハブって、ケーブルを噛み切るのでしょうか。
ネット上を調べると、沖縄本島のハブに比べ、気性が荒く攻撃的とありました。また、奄美大島でも同様の構造の中継局があるとのことです。

 

 
送信アンテナの拡大です。 角度を変えて2枚。 3素子八木3面が3段あります。一番上がFM、下の2基は中波ラジオの補完FMです。
なお、中段・下段のどちらが第1・第2なのか、素子の大きさが同じで区別がつきません。(下段が少し大きいか?)

アナログ時代には、この鉄塔側面に双ループアンテナが3面設置されていました。 FMアンテナは今と同じ一番上です。

 


局舎の前には、大きなプレートパラボラがあります。
 
拡大しました。

このプレートパラボラは、沖永良部島・知名中継局向け送信用TTLパラボラ(UHF)です。

 


アナログ時代からの表札があります。

 

受信アンテナは、アナログ時代と同様に離れた場所にあります。


こちらは、アナログ時代から使用の受信ポイントと思われます。頑丈な柵に囲まれています。

 

 
それぞれを拡大しました。

なお資料等を元に調べたところ、デジタルは、こことは別に南へ500mあたりの広場のような場所で、4mグリッドパラボラで受信しているようです。
ここと、スペースダイバシティなのかもしれません。(資料と実際の状況が、かなり異なりハッキリしません。資料の記述では、民放の予備アンテナの
可能性もあり????です。)

FM補完局の親局については、奄美大島にはFM補完中継局が無いので放送波受信ではなく、中波中継局同様、NTT回線使用と思われます。

 

 
受信所の敷地へ入る扉と表札です。

扉には「ハブ」に関しての注意書きがあります。

 

ところで、このNHK中継局には、デジタル送信アンテナらしいものが見当たりません。どこにあるのでしょうか。

資料を確認すると、NHKはデジタルでは民放と鉄塔・アンテナを共用とのことです。ケーブルが民放局舎へ延びているようです。
(機器は、TTL固定局も併設ですので、アナログ時代からのNHK局舎にあると思われます。)


NHK中継局から、少し離れた一段高い場所に民放中継局があります。 現在は、全社共用デジタル中継局になっています。
最初のパノラマ画像の説明は不正確で『右上方に全社共用デジタルです。』が正しいです。


全景です。

 

 
鉄塔を拡大しました。 角度を変えて2枚。 先端には、かつてアナログアンテナがあったものと思われます。

 

 
さらにアンテナ部を角度を変えて2枚。 2種類のアンテナは、どちらも送信アンテナです。

 


6L2段3面を拡大しました。
 
4mグリッドパラボラを拡大しました。

民放はアナログ時代と同様に沖永良部島・知名中継局向けは放送波伝送です。そのためデジタルでもグリッドパラボラ併用です。
また、グリッドパラボラからは、NHKの電波も出ていると思われます。

 


局舎です。 2棟あります。 アナログ時代からの継続です。
 
表札は、開局順に3枚あります。

表札には、開局年月が入っている珍しい形式です。歴史が分かり有り難いです。
なお、NHKの機器が中に無いためか表示されていないようです。 (これだと、NHKもアンテナを共用しているとは気付きませんね。)

 


敷地へは、この扉を開けて入ります。
 
扉には、ハブを中に入れないよう注意書きがあります。
また、補助金が出ているようです。

 

 
NHK FM受信点近くにある民放の受信所の全景と鉄塔の拡大です。 大小2基で瀬戸内中継局の放送波をダイバシティ受信 しています。

なお、同じアンテナを使用していますが、MBCのみNHKと同様に番組伝送はUHF TTLを採用しています。
瀬戸内固定局からの19chを受けています。

 


位置は不明ですが、別のグリッドパラボラがあります。 民放各社共用の予備アンテナらしいです。


UHF TTLについて

NHKでは、奄美大島から徳之島中継局、沖永良部島の知名中継局間の番組伝送にUHF帯の電波を利用したTTLを使用しています。
これはUHF TTLと云う方式です。

2008年11月27日付のNHKの報道発表資料によりますと 離島間を結ぶネットワークを構築するには長距離の海上を
電波で結ぶ必要があり、(徳之島局へは奄美大島から55.8km、知名局へは徳之島から60.7kmの伝搬距離があります。)
UHF波はSHF波に比べ降雨による減衰が少ないため、長距離の回線に適しているとのことで今回採用されました。

UHF TTLは、放送波と同じ周波数帯域を使う伝送方式で2008年3月に制度化されたとのことです。(自局のエリアに向けての
放送周波数とは異なる周波数で、併設の固定局から対向先の中継局へ向けて電波を発射しています。)

具体的に奄美・徳之島間を例にすると、奄美大島の瀬戸内局では、自局エリアに対してNHK−Gは22ch、NHK−Eは20chで
放送電波を送信し、併設の固定局から徳之島向けにはNHK−Gは45ch、NHK−Eは50chの伝送用電波をパラボラから
送信しています。

さらに、徳之島中継局と沖永良部島の知名局との間では、UHF TTL回線をさらに安定させるためにNHKが開発した
「最大比合成方式」のダイバシテイ受信装置が使用されているとのことです。

なお、民放の奄美諸島の番組伝送は、MBCの奄美大島・徳之島間を除き、通常の放送波受信方式で各中継局を繋いでいます。
(情報が古い可能性があります。)

 

中継局データ

アナログ NHK総合 NHK教育 MBC KTS KKB KYT
チャンネル 9ch 11ch 60ch 58ch 62ch 56ch
出力 100W 100W 300W 300W 300W 300W

アナログテレビ放送は2011年7月24日をもって終了しました。

NHK−FM  81.6MHz  100W
NHK第1
   79.4MHz  100W
NHK第2
   80.7MHz  100W


デジタル NHK総合 NHK教育 MBC KTS KKB KYT
チャンネル 15ch 13ch 16ch 18ch 14ch 17ch
リモコン
出力 各局とも 30W

H様、画像の提供をありがとうございます。


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