送 信 塔 見て歩き
熊本県 ・ 中継局
匿名希望様提供の画像で紹介します。


南阿蘇テレビ・FM中継局  2018年4月撮影

南阿蘇中継局は、阿蘇郡南阿蘇村の夜峰山(よみねやま)の山頂付近に設置されていた中継局ですが、2016年4月の
熊本地震で大きな被害を受けたため、5月に観音桜展望所付近に仮設の中継局を設置し急場を凌いでいました。

その後、夜峰山での再開を諦め、仮設中継局近くに南阿蘇中継局は移転となりました。そして、旧施設は2018年12月までに
解体撤去されたということです。

今回は、匿名希望様提供の2018年4月撮影の遠景画像で被害を受け放置されている中継局をご覧ください。


その前に被害に遭う前の南阿蘇中継局の様子を、まずアナログ時代から説明します。

開局当初は「高森中継局」と名乗っていたようですが、1988年5月に「南阿蘇中継局」に変更されました。

開局は、NHKとRKKが1964年10月、TKUが1969年10月、KKTが1982年4月、KABが1989年10月です。
(TKUは基幹局開局から半年後、KKTとKABは基幹局と同時に開局しています。)

中継局は、KKTとKABが共用以外は、各社単独での設置です。
送信アンテナは、NHKは個別の3素子八木2段1面+3素子八木1段1面、RKKとTKUは、それぞれ3素子八木1段2面、
KKTとKABは共用4L1段2面です。(基幹局がUHFのTKUは当中継局では、なぜかVHF送信でした。また、VHF・UHFとも、
垂直偏波です。)
受信は、NHKは共用2mプレートパラボラにて金峰山固定局受け、予備に約370m離れた地点で、Gが8素子八木2列、
Eが8素子八木3列にて基幹局受けです。RKKは約200m離れた地点で18素子八木、以下は、送信点で、
TKUは1.8mグリッドパラボラ、KKTとKABは共用1.8mグリッドパラボラにて、各社とも基幹局受けです。

FMについては、NHKの開局は1969年12月、FM熊本は1987年7月です。
NHKはテレビと共用で、送信アンテナはテレビとは別の鉄塔に垂直ダイポールです。受信は送信点で5素子八木にて
基幹局受けです。
一方、FM熊本はRKKに同居です。送信アンテナはNHKと同様に垂直ダイポールです。受信もNHKと同様、送信点で
5素子八木にて基幹局受けです。

続いてデジタル中継局の説明です。 2008年6月にデジタル化されました。

中継局は、NHKは局舎はアナログからの継続使用、鉄塔は新築。民放はテレビ4社で局舎を新築し、鉄塔はNHKとの共用です。

送信アンテナは、NHKと民放の2グループに分かれ(上が民放)それぞれ共用4L1段2面(垂直偏波)です。
受信は、NHKはオフセットパラボラにて金峰山を放送波受け、民放は4社共用平面アンテナにて金峰山を放送波受けです。
TKUは予備で20素子八木もあるようです。

FMアンテナは、NHKではアナログ鉄塔から継続、FM熊本についても、引き続き旧RKK中継局からの送信と思われますが
未確認です。

それでは、中継局を遠景画像で紹介します。


 
遠景です。

 


拡大しました。一番目立っているのが、デジタル中継局鉄塔です。

 


少し別角度から。

2016年12月20日に熊本市内のホテルで開かれた「ITC x 防災シンポジウム in 熊本」の中で発表されたRKK資料の
現場写真では、地面がひび割れ局舎が大きく傾いています。デジタル鉄塔には大きな被害は無いようで垂直に建っている
ように見えます。 この状態で何日かは電波が出ていたようです。


観音桜展望所に移設された新しい南阿蘇中継局はこちらから 


中継局データ

アナログ NHK総合 NHK教育 RKK TKU KKT KAB
チャンネル 12ch 6ch 10ch 4ch 31ch 29ch
出力 10W 10W 10W 10W 30W 30W

基幹局がUHFのTKUは当中継局ではVHF送信でした。また、NHK−Gでは珍しい12chが使われていました。

なお、開局当初は、NHK−Gが8ch、NHK−Eが1chだったようです。(未確認です。)

アナログテレビ放送は2011年7月24日をもって終了しました。

NHK−FM  83.8MHz  10W
FM熊本    76.8MHz  10W


デジタル NHK総合 NHK教育 RKK TKU KKT KAB
チャンネル 20ch 18ch 21ch 23ch 25ch 27ch
リモコン
出力 各局とも 3W

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