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長野県 (番外編)


芥子望主山 反射板  2015年9月撮影 (一部、2011年、2016年、2021年撮影の提供画像があります。)

芥子望主山(けしぼうずやま ・ 標高891m)は、松本市の中心部から北方向にある山です。(芥子坊主山とも書くようですが、当HPでは
国土地理院の表記に合わせます。) アルプス公園やテレビ中継局がある 鳥居山から尾根続きです。

山頂には、「芥子坊主農村公園」と云う名前の広場や遊具、それに展望台がありますが、アルプス公園に比べ人気(ひとけ)が少ないです。
(松本市のHPによると公園の名称は「坊主」となっていますので、それに従います。)

訪問日は連休だったのでテントでキャンプをしているグループをいくつか見かけました。 駐車場も広く、穴場スポットかもしれません。


王ヶ鼻から見た鳥居山から芥子望主山にかけての山並みです。


長野県の民放FM局であるFM長野の本社は、県庁所在地の長野市ではなく、松本市にあります。したがって、番組も松本市の
本社から美ヶ原へ送られています。

しかしながら、王ヶ鼻が邪魔をして本社から放送所がある王ヶ頭を見通すことができません。そこで、双方を見通すことのできる
芥子望主山に反射板を設置し、それを介して番組を伝送しているとのことです。

これまで、FM長野のSTLの対向先を気にしておらず、反射板については帰宅後、美ヶ原について調べていて偶然知った次第です。

 ↑ うかつにも、松本に本社・演奏所があることすら失念していました。 (自社番組は松本で制作しているのですね。)

なお、美ヶ原ではNBSとABNの鉄塔にも松本市街地に向くパラボラがあり、この2社も芥子望主山に反射板を設置しています。

また、NHK・SBC・TSBは、ここ芥子望主山ではなく、美ヶ原の南側にある茶臼山に反射板を設置して、美ヶ原・長野市を結んでいます。
2018年4月に美ヶ原を取材した画像に茶臼山の反射板が写っているコマがありました。
美ヶ原の2018年4月のページ最下部で紹介しています。


まずは、美ヶ原からの遠景画像です。


SBC放送所近くから見た王ヶ鼻の右側谷間です。
 

谷間を拡大しました。右側に白い明るい点と、左側にも少し暗い点が
見えます。 これが反射板でしょうか。

この位置からでは、よく分からないので芥子望主山の全景が見える王ヶ鼻へ移動し確認します。



王ヶ鼻から見た芥子望主山です。

一番左の赤い屋根の建物右下の尾根(薄い色です)、画面中央、右側建物の下、の3か所に反射板が見えます。

美ヶ原の電波塔には、この芥子望主山方向に向くパラボラが放送関係だけでも、SBC鉄塔(FM長野)、NBS、ABNの3社にあります。

これらのうちのどれかが、その対向先なのでしょうか?。


それでは、芥子望主山の現地で反射板を確認します。 山頂近くに広い駐車場がありますので、そこに車を止め探索です。


1基目は、山頂の「芥子坊主農村公園」の一角にありました。

ネット上の情報では、これがFM長野の反射板らしいのですが、施設に看板があるはずもなく、銘板も発見できず確認が取れません。

反射板を微妙に角度を変えて2枚。

 


見上げてみました。

こちらは王ヶ鼻から見た、この反射板です。

これが本当にFM長野の反射板かは、下方で検証します。

この反射板は、展望台のすぐ南側にあります。足元は木が生い茂り、見通しが悪いです。フェンスで囲ってありますが、それも見えない状況です。

残るNBSとABNの反射板は番組伝送用でないためか、ネット上に情報がなく、自分の足で探すしかありません。


2基目は、山頂近くで合流する細い林道を ふもと側へ降りていくと、すぐの所にありました。

角度を変えて2枚。

 


王ヶ鼻からの画像です。 2基目の反射板は、この画像の左隅のものです。

 


道路から少し高い位置にありましたが、無理やり藪に入り、フェンス内を覗いてみましたが、ここも繁みが深く銘板の発見には至りませんでした。

その後、情報をいただき、この反射板はABNの反射板だそうです。 画像の提供も受けました、下方にあります。

この反射板は撤去されたとのこと。S様より画像の提供を受けました。一番下にあります。2021.05追記


この林道をさらに数百メートル下ると樹木が切れて松本市街地が一望できるところに出て、3基目の反射板がありました。

角度を変えて2枚。

 


正面側です。

銘板で東京電力のものと分かりました。 これがあると助かります。

 


この画像は、東京電力反射板の少し山頂側からのパノラマ画像です。  合成


上記画像で美ヶ原(王ヶ鼻)は、左上の部分です。

 


美ヶ原部分を拡大しました。

 


さらに拡大しました。 鉄塔とパラボラが確認できます。
(この画像は、上記パノラマ画像と同じく、東京電力反射板よりも山頂側での撮影です。)

 


こちらの画像は、東京電力反射板のところでの撮影です。(上記画像より、少しふもと側です。)
東京電力のパラボラは、中央の低い鉄塔でしょうか。

この位置からは、他社の鉄塔は見えているのに、なぜかSBC鉄塔だけが見えません。
ここでは、FM長野の回線設定はできないことになります。


美ヶ原(王ヶ鼻)から見えた3基の反射板の所在を確認したところで、もう一度、農村公園に戻ります。



山頂には屋根にパラボラが付いた展望台があります。

展望台から見た美ヶ原方向です。 樹木に隠されていますが、反射板も右側に、ちらっと見えます。

展望台のパラボラが何なのかは未確認です。 放送関係ではないと思われたので追求していません。

このパラボラは「松本市の防災無線中継局」のものだそうです。(所属を訂正しました。2021.05再追記) M様、情報提供をありがとうございます。



農村公園展望台から見たパノラマ画像です。 合成

 


上記画像で美ヶ原(王ヶ鼻)は、左上の部分です。

 


さらに拡大します。鉄塔が確認できます。

山頂の展望台からは、SBC鉄塔全体が見えます。逆に他社の鉄塔は左手前の山が、せり出してきて、東京電力の反射板の所から
見えていたNBSとTSBの鉄塔が見えなくなりました。また、NHK−FM鉄塔とSBC鉄塔が重なっています。
ABNのパラボラは、ギリギリ見えています。

 


王ヶ鼻から見たABN鉄塔のパラボラです。
上記画像では、ステージから下が見えていません。

ABN鉄塔直下から見た松本向きパラボラです。
やや下向きです。

美ヶ原ABN放送所前から見たFM長野のSTLです。
 

 


東京電力反射板付近から見たNBS放送所を拡大。

美ヶ原で撮影した松本向きのNBSパラボラ。

 

<参考>

美ヶ原から見た谷間です。  再掲載画像。

農村公園の反射板は、右側の山に隠され見えていません。目立つ白い反射板は、ABNのもののような気がします・・・。

その後、画像の提供をいただき、銘板により上記反射板はABNのものと確認できました。 下方で紹介しています。

また、左に薄くある反射板は、消去法でNBSの反射板だと思われます。(芥子望主山の現地で探索しましたが、発見できませんでした。)

その後、2016年になって、NBS反射板の画像を提供していただきました。 下方をご覧ください。

東京電力の反射板は、ずっと左側でこの位置からは見えていません。


ここまで考察するに、SBC鉄塔が松本市街地から見えるポイントは、芥子望主山の山頂部とその延長上しかないことになります。

本社の位置を考えると、FM長野の反射板って今の場所以外に考えられないのですね。
農村公園にある反射板はFM長野のものとみてよいようです。(2基目の反射板の所で確認していないので断定できませんが、その場所では
SBC鉄塔は見えないと思われます。)

また、画像をよく見ると、FM長野の反射板は美ヶ原の地面(地上)からは見えず、鉄塔上からのみ見えるギリギリの高さと思われます。
 ↑ 芥子望主山からの画像を検証すると、王ヶ頭の石碑付近からフェンスや建物が邪魔をしていなければ、地面からFM長野の反射板が
   見えるかもしれません。 (見え方がそこまでギリギリとは思わず、その位置から確認していませんでした。)

ここまで計算してパラボラと反射板、そして本社の位置が決められたのでしょうか?。

こんな面倒なことをしなくても、松本市街地の南側か西側に本社があれば、王ヶ頭は見通しと思いますが・・・。(市の中心部から離れすぎかも・・・。)

それと、以前の訪問では、SBC鉄塔にもう1基松本向きのパラボラがありましたが、あれは一体、何だったのでしょうか。

 

ひとつ心配事が・・・。


展望台からの画像をさらに拡大しました。

FM長野の反射板は、この画像を撮影した芥子望主山展望台より、少し低い位置にあります。(上方の画像を参照ください。)

上記の画像で鉄塔をよく観察すると、手前の山の樹木が伸びて、あと何年かするとパラボラが隠されてしまいそうです。


ところで、反射板からは、もう一方の対向先の本社や支社のパラボラが見えていなくてはいけません。

そこで、今度は市街地に目を移します。


これが、FM長野本社のパラボラです。

これが、ABN支社のパラボラです。

この2基のパラボラは、こちら向きです。

 


TSB支社にもパラボラがありました。これは少し右向きです。
多分、鳥居山のFPU受けと思われます。

 

あと、NHK支局とSBC支社も見つけましたので掲載します。こちら向きのパラボラはありません。(SBCは建物が見えていないようです。)

NHK・SBC・TSBは、芥子望主山ではなく、茶臼山に反射板を設置しています。このうちTSBは、松本支局からではなく、鳥居山の
旧アナログ中継局(現固定局)に設置されたパラボラから通信をしています。 茶臼山の反射板は、美ヶ原の2018年4月のページの一番下を
ご覧ください。

 


こちらは東京電力の建物です。パラボラがこちらを向いています。3基目の反射板の対向先と思われます。

 


「まつもと市民芸術館」屋上にも、こちらに向くパラボラが見えました。

こちらについては、情報をいただき、展望台のパラボラの対向先とのことです。

 


松本城も見えました。


テキトウに撮った画像から目標建物を探すのはタイヘンです。

NBS支社は写した画像の中には無く、芥子望主山に向くパラボラがあるのかは未確認です。

その後、情報をいただき、NBS支社には芥子望主山に向くパラボラがあるそうです。反射板と合わせて下方で紹介します。


こちらは、S様提供のABN反射板の画像です。 2011年4月撮影です。

 


銘板で確認できます。

やはり、草が伸びていない春先に行けば見通しがよいですね。参考になりました。 S様、ありがとうございました。

その後、ABNの反射板は撤去されたとのことです。下方をご覧ください。2021.05追記


昨年、画像を提供していただいたS様より、NBS反射板の画像が届きましたので紹介します。再び、ありがとうございます。

 


角度を変えて3枚。 これらの画像は2016年3月撮影です。

他の反射板と比べ小型です。美ヶ原から薄くしか見えなかったのも道理です。

S様によりますと、この地点から双眼鏡で美ヶ原を確認するとTSB,NBS,ABNの鉄塔が確認できたとのことです。
銘板等の表示は無いもののNBS反射板で間違いないと思われます。

 


反射板越しに見た風景です。

 


こちらは、NBS松本支局と屋上のある芥子望主山向きのパラボラです。

この2枚は、2015年10月撮影

 
この2枚は、2021年3月撮影のABN反射板跡です。

ABN中南信支社は、別の場所に移転したそうですので、それに合わせて反射板を撤去したようです。 長野本社との連絡がどうなっているかは未確認です。
なお、反射板の撤去は、ネット情報を参考にすると2019年春以降と思われます。


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