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東京タワー (芝放送所)

それでは、アンテナを紹介していきます。業界では、東京タワーのことを「芝放送所」と呼ぶようです。

    
この3枚は、2002年4月撮影です。

この時点では、MXテレビのアンテナの上部でデジタルアンテナの工事中です。
まだ、アンテナ本体は取り付けられていません。



この看板を読み取ると、地上250mの特別展望台は、法律上は16階らしいです。また、120.54mの
ところに、8階9階を増築ということは、大展望台のすぐ下にデジタル放送用の設備を2階建で建築
するようです。

注・アナログテレビの放送所は、タワービルの5階ですが、保安上の理由からか、現在のパンフレットや展望台行き
  エレベーター前の案内板には、記載されていません。
  (昔はパンフレットや案内板に表示がされていました。)
  昔(1983年)のパンフレットは、
こちらから。  さらに昔(1964年)のパンフレットは、こちらから。


それでは、デジタル放送局舎をどうぞ。

2003年9月撮影  六本木ヒルズ前から


こちらは、1981年5月 撮影のもの

同  別角度から(芝公園から)

デジタル放送所は、2階構造で、上がNHKと(社)デジタルラジオ推進協会、下が民放6社です。
MXテレビも、デジタル送信機は、ここに置いているそうです。またMXテレビは、アナログ波と
デジタル波を同じアンテナから送信していますので、アナ・デジ共用装置もここにあるそうです。

なお、放送大学については情報がありません。


続いて、2003年9月撮影の先端から大展望台にかけての画像です。(2枚分割) どちらも六本木ヒルズからの撮影です。

 2003年12月1日 地上デジタル放送

     小出力で放送開始

この時点では、地上デジタル放送用のアンテナは、完成しており、試験電波の発射が続いています。後は、12月からの放送開始を待つばかりです。

また、特別展望台のすぐ下にVHFデジタルラジオ用のアンテナが新設されました。

これも2003年10月より試験放送開始です。

特別展望台の上下は、新設のアンテナで、「バランスが悪そう」と思うのは、私だけでしょうか。

また、以前にはなかった太いケーブルが、鉄塔の内側を大展望台から上へ延びています。

多分、地上デジタル放送用のものでしょう。黒い太いケーブルが、すこし目障りに感じます。

ところで、六本木ヒルズ52F(東京シティビュー)からの眺めは、かなりのものです。

海抜250mということは、東京タワーの特別展望台と同じ高さ(若干、こちらが高いのか?

横の写真を参照)デジタルアンテナが真横に見えます。

下からだとよく見えないトップ部の形状も分かります。(なお、望遠レンズで撮影していますので、近く感じますが、実際には、かなり距離があります。)


さらに拡大です。  こちらは、タワー直下からの望遠撮影です。 2007年2月 撮影

民放の2ダイポールアンテナの様子が、よく分かる写真が撮れました。

  東京タワーは、1957年6月29日に起工し、
翌58年12月23日に竣工しました。


1959年1月10日、最初の電波が出されました。
(1チャンネル・NHK教育テレビ 10KW)


ゲイン塔の上部から

NHK総合 ・ 教育(アンテナ共用)

テレビ朝日

フジテレビ

TBSテレビ
日本テレビ (2本 併設)

テレビ東京
 (左の写真には、デジタルアンテナに隠され写っていません)

の順で 331メートル から 277メートル までの間に
ほぼ、10メートル間隔で、アンテナが設置されています。
(地上高)

(パンフレットにも、この順番で掲載してあります。
このことを知る前は、てっきりチャンネル順とばかり思っていました。
単純に考えると、民放では、テレビ朝日が、一番遠くまで飛んでいるのか?)

アンテナ本体については、一番上は、スーパーターンスタイル、
その下は2ダイポールが何段も並んでいるのが望遠レンズで
撮影した画像で確認できました。

別角度からの撮影で、2ダイポールアンテナが連続して4段、
合わせて5セット設置されているのが分かりました。
(別ページの写真を参照ください。)

トップ部の別画像は、こちらから 超拡大版です。
テレビ東京も写っています。

また、放送大学テレビ、東京メトロポリタンテレビのアンテナも、
これらより、少し下に設置されています。

この他、NHK−FMFM東京J−WAVE
インターFM
放送大学FMのFM5波も、東京タワーより送信
されています。

FMアンテナは、大展望台と特別展望台の間に
スーパーゲインが設置されています。

なお、インターFMは、送信位置が低く(大展望台の少し上)、
受信エリアは、かなり狭いようです。

(下のほうに、FMについての解説があります。)


東京タワーのアンテナ設置順(同所からの開局順)について、いろいろ調べた結果、NHKは東京タワー開業当初
(1959年1月10日に、教育テレビが1チャンネルで、まず開局)からの設置で、公共放送ということで一番上に
なっています。

NTVとTBS(当時はKRT)は、東京タワー完成後も、自社敷地内のタワーより引き続き送信していました。

民放で東京タワー開業当初からアンテナがあるのは、なんと1959年(昭和34年)2月開局のテレビ朝日
(当時NET)と、翌月開局のフジテレビです。したがって、民放のアンテナ高さもその順番となっています。
最近得た情報では、TBSは、翌1960年(昭和35年)1月に送信所を赤坂から東京タワーへ移転したようです。
順番は、フジテレビの下になります。

これで、上記の疑問、「上からチャンネル順の設置ではないこと」の謎は解けました。

10チャンネルのテレビ朝日が8チャンネルのフジテレビより先の開局だと調べていてはじめて知りました。
なお、フジとNETの予備免許交付は、同日です。

また、NHK総合テレビは、開局当初は3チャンネルで、自社の千代田タワーからの送信でした。占領軍から
1チャンネル返還後、教育テレビが東京タワーから1チャンネルで開局しました。しかし、教育テレビよりも
総合テレビの方が、優先度が高いことなどの理由から、送信位置がより高い東京タワーに移動することになり、
1959年4月6日に1チャンネルと3チャンネルを入れ替える形で、総合テレビが1チャンネルで東京タワーから
の送信を開始しました(出力10KW)。また、1960年1月17日には、50KWに増力され、現在に至っています。
一方、教育テレビ(3チャンネル)は、総合テレビと入れ替えで千代田タワーからの送信となったものの、
1960年5月16日には、出力も50KWとなって、東京タワーに戻ってきました。(総合テレビとアンテナ共用)


並列になっているTBSとNTVのアンテナ。

なお、日本テレビは、自社タワーの減価償却が終わっていないことや、「正力タワー」の計画推進で、東京タワーの利用を最後まで拒み、移転したのは正力松太郎氏が亡くなった後の1970年(昭和45年)11月10日です。(同社HPにて略史を確認)

1968年ごろから、都心部の高層ビル建設ラッシュでゴーストやビル陰による難視聴地域の拡大で、他局に比べ映りが、かなり悪かったようです。また、サービスエリア自体も狭かったものと思います。

ただ、東京タワーには、1964年に開局した東京12チャンネル(現・テレビ東京)のアンテナが、TBSの下に設置済みで、ゲイン塔には、日本テレビのアンテナ設置スペースは残されていませんでした。しかし、TBSの好意と協力でアンテナを「2本併設」することで解決しました。(共用ではありません。左記写真参照。)

もし、TBSが協力を拒んだらどうなっていたのでしょうか。名古屋テレビ塔の「NHK教育・名古屋テレビ」のように翼のような形(スキュー配列)にでもしたのでしょうか。この場合、受風面積などを考えると、設置高さは、ずいぶん低くなるものと想像します。または、日本テレビだけUHF波になっていたかもしれません。放送大学のアンテナは、この形式です。テレビ東京のアンテナのすぐ横にあります。

1963年、1964年及び1984年の「東京タワーの
はたらき
」という見取り図がありましたので、掲載しておきます。
1963年のものには、東京12チャンネルと日本テレビ、また1964年のものには、日本テレビという文字はありません。

また、特別展望台は、まだ「作業台」の時代です

パンフレットによれば、特別展望台は、元々保守用の作業台として作られましたが、公開の希望が当初から強く、1972年7月28日に装いも新たに一般公開されたものということです。窓は、厚さ8ミリのガラス2枚を張り合わせた特殊ガラスで風速130mにも耐えるとのことです。

FM放送について触れておきますと、1961年3月には、FM放送実験協議会に対して、実験局の予備免許が
おりています。これは、タワー共用時にテレビとの混信等を実験調査する目的のものです。
その後、NHKは、1970年10月3日に東京タワーからFM放送を開始しています。

また、地上デジタルテレビ放送の実験は、1998年11月から東京タワーを利用して行われていました。

(TBSの東京タワーへの移転日付は、さらに調査中です。1月17日の可能性が高いです。)

この項は、「電視開始的映像迷」様からも情報提供をいただいております。ありがとうございます。


地上260m付近のデシタル放送用アンテナです。ドーナツ状の形をしています。大きさは、上の赤いほうが直径13m、
下の白いほうが13.5m、高さは合わせて12m、重さは合わせて約40tです。
アンテナの中心高さは、上が267m、下が251mです。

アンテナの形式は、「3素子型2L双ループ5段15面2系統」です。それが、2段重ねになっています。


 2002年8月撮影

 2003年9月撮影

このアンテナからは、NHK2波と民放5社の7波が2003年12月に放送を開始し、放送大学も、2006年12月に放送を開始しました。

MXテレビは、すぐ下にある自社のアナログアンテナと共用です。(リング状のもの)
2003年12月、放送開始

この、ドーナツ状のアンテナのすぐ上に、放送大学テレビ(棒状のもの)

その下には、各種パラボラがついています。

さらに、その下は、特別展望台(地上250m)です。

また2003年9月の写真では、特別展望台のすぐ下にVHFデジタルラジオのアンテナが新たに取り付けられています。

もう少し、デジタルアンテナについて解説します。

2段重ねの上の5段をA群,B群、下の5段をC群,D群と呼ぶそうです。AとB、CとDは、それぞれ1つ置きにセットで
1セットあたり15面、2セットですき間なく埋まり、合わせて30面になります。また、1セットごとに2波共用になっており、
A,B,C,D合わせて8波の送信ができます。

A,B,C,D各群は、A群がNHK総合(27ch)・教育(26ch)、B群が日本テレビ(25ch)と放送大学(28ch)、
C群がテレビ東京(23ch)とテレビ朝日(24ch)、D群がフジテレビ(21ch)とTBSテレビ(22ch)に割り当てられ、
2波共用で放送しています。


MXテレビのアンテナです。


この2枚は、2002年4月撮影



2003年9月撮影


左は、2007年2月撮影の放送大学と民放アンテナ部です。

 



2007年2月撮影
  次に、FMアンテナについてです。
パッと見るだけでは、どこにあるのかよく分かりません。

パンフレットなどでは、大展望台から特別展望台の間にあるとのことですが、
鉄骨の内側で、よく見えません。

今回、ほぼ水平に夕日があたる時間に写真を写してみました。
すると、アンテナが確認できました。

資料では、上からSG8段がNHK−FM、TOKYO−FM、J−WAVEの
3社の共用、その下に2L4段の放送大学FM、一番下に2L1段の
インターFMのアンテナがあるようです。

また、技術的なことは分かりませんが、鉄骨に囲まれていて、
(写真で見ると鉄骨が逆三角形で開いているようにも見えます
が・・・)電波が吸収されないか(弱まらないか)気になります。

とはいえ、その昔(1970年代後半)、自宅(富山県高岡市)にて
「5エレ八木」で、FM東京を状態の良いときには「S3」ほどで、
受信したことがありますが・・・。

FMアンテナについては、2010年撮影のページで詳しく紹介しています。



こちらは、大展望台の上のアンテナ群です。2003年9月 撮影


こちらは、特別展望台下のデジタルラジオのアンテナの拡大です。

2007年2月撮影


2006年5月撮影


ところで、首都圏では、この東京タワーだけでなく、各地で地上デジタル放送の中継局が開局しています。

主要な中継局へは、従来からの放送波中継方式ではなく、マイクロ波回線で電波を送っているようです。(TTL方式)
そのためのパラボラが増えていることを確認しました。

  
2003年9月撮影            2006年5月撮影            同 別角度から
南東方向向きの高い位置に、目立つパラボラが設置されています。

 

  
2003年9月撮影            2006年5月撮影            同 別角度から
MXテレビのすぐ下に北東向きにパラボラが増えています。

 

  
2003年9月 撮影             2006年5月 撮影
大展望台の上と下に南東向きのパラボラが2つ増えています。

なお、この2年半の間、東京タワーの直下まで行く機会がなかったのでいつ取り付けられたかは不明です。



2006年3月撮影 国会付近から見た中間部です。
こちら向きのパラボラは、菖蒲久喜TTL中継局向けでしょうか?。


2007年2月訪問時には、さらに増えていました。
  
2006年3月 撮影                    2007年2月 撮影

東方向にパラボラが、さらに追加されていました。千葉方面向けか?。


ところで2007年は、5年に一度の塗装塗り替えの年でした。

当方は、その期間中に東京都心部へは、出掛けませんでしたので、
直接タワーを見ていませんが、朝の情報番組の背景によく東京タワー
が映し出され、夏以降、先端近くに四角い箱型のものが見え、
たいへん気になっていました。

情報では、塗装作業のための櫓(やぐら)ということでした。

その写真を入手できましたので、遅ればせながら掲載いたします。

 

 

この4枚は、「アトリエミキ」様提供
2007年6月 撮影

 

 


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