送 信 塔 見て歩き
千葉県 ・ 中継局


佐原テレビ中継局  2007年2月、2017年8月撮影

まずは、2007年2月に、電車内から撮影した画像と記事です。銚子方面からの移動です。

佐原中継局の鉄塔は、香取市のJR佐原駅手前から見えてきます。佐原駅と大戸駅の間で一番近くを通ります。JR成田線の線形が
中継局付近でカーブしていることや高い鉄塔のため、次の下総神崎駅の手前まで、かなり長い時間見えていました。

当中継局では、まだ地デジは開局していませんが、千葉県内の地デジ中継ポイント(TTL固定局)として稼働しています。

当中継局の開局の経緯など、詳しい説明は、下方の2017年の訪問記にあります。
なお、特異な成り立ちと変更が多い中継局のため、説明文が多いページになってしまいました。申し訳ありません。

全景を角度を変えて2枚。

 

アンテナです。別角度から。

4L3段3面が2セットです。上がNHKとCTC共用。下が東京民放5社共用です。

 

中間部のパラボラです。遠方からの画像に付き、対向先や用途がはっきりしません。
八木アンテナや携帯電話のアンテナも付いているようです。

※ 上記写真は、すべて移動中の鉄道車内からガラス越しの撮影です。

 

上記と一部重複しますが、ここでアナログ中継局の説明です。(アナアナ変更前の様子です。)

開局は、全局同時に1995年1月です。また、局舎と鉄塔は全社共用です。
送信アンテナは、上下2セットに分かれており、上がNHK2波とCTCの共用、下が東京民放5社共用です。形式はどちらも4L3段3面です。
受信は、NHKは2波共用4mグリッドパラボラにて成田中継局受け、東京民放5社も5波共用4mグリッドパラボラにて成田中継局受けです。
CTCは1.8mグリッドパラボラにて、船橋基幹局受けです。

なお、アナアナ変更やデジタル固定局設置で、現時点では画像と異なる部分があります。

ここまでが、2007年の訪問記です。


2017年8月のお盆休みを利用して、千葉県北東部の中継局を見てきました。当中継局は、銚子中継局の帰りに電車内から見て以来、
10年後の初訪問です。10年ってあっという間ですね。今回は車での訪問です。

さて、ここからが本題です。

佐原中継局は、香取市玉造の玉造浄水場の北西側にあります。
当中継局は以前は、比較的近距離の別の場所にありました。当地へ移ってきたのは、1995年1月です。
移転したのには、もちろん理由があります。

以前、電車から見て、大きな鉄塔だとは思っていましたが、間近で見ると圧倒されます。なぜこんなに立派なのかと調べてみると、
この辺りは、成田空港に離着陸する航空機によりテレビに受信障害が発生するため、当時の成田空港公団が、その対策のため
空港周辺に設置した4中継局のうちの1か所とのことです。

ちなみに4中継局は、成田・佐原・下総光・江戸崎です。所有者も空港公団(現 空港会社)とのことです。
成田と江戸崎は、以前に訪問していますが、こちらも場所に似合わず立派な鉄塔でした。お金のかけ方が根本的に違うのですね。

その4か所の中で、一番大きなものが、ここ佐原中継局の鉄塔です。高さが218mだそうです。

ところで、デジタルでは、基本的に航空機による受信障害は発生しないとのことで、空港会社は施設管理から手を引き、放送各社により
デジタル化されました。

デジタルでも全社共用の中継局です。2009年3月末にデジタル化されています。

送信アンテナは4L3段3面、受信は3mプレートパラボラ2基によるダイバシテイ受信(船橋・三山固定局受け)です。
当中継局では、その役割がアナログ時代の受信障害対策局から、デジタル時代では千葉県北東部と茨城県南東部への番組伝送の
中継基地へと大きく変わっています。

東京タワーから船橋(三山)へ送られた番組はCTCと合流し、佐原へ伝送されてきます。佐原からは分岐し、銚子・下総光・小見川へと
送られています。東京民放では、それに加え常陸鹿嶋へも伝送されています。
(NHK−Eの常陸鹿嶋への伝送は、Gとともに筑波固定局経由のようです。←常陸鹿嶋のデジタル化の経緯に関係ありそうです。)

 

それでは、現在の様子を画像で紹介ます。
なお、2017年の夏は、関東地方は不順な天候で、千葉県北東部を訪問していた時間帯は、特に雲が厚く良い写真が撮れませんでした。
記録写真としてどうぞ。 気が向けば再訪問することにします。


全景です。

 

別角度からの鉄塔の全景です。

 

送信アンテナを角度を変えて3枚。4L3段3面が2セットあります。

ところで資料では、送信アンテナは、全社共用で1セットのみの掲載ですが・・・? アナログアンテナがまだ取り外されていないのか?。
そんなはずはないと思い調べてみると、当中継局では、2013年5月末から6月半ばにかけて、NHK−Gとチバテレビを除く6チャンネルが
チャンネルリパックされていることが分かりました。

下段にリパックされた局のうち、ハイチャンネルのアンテナが取り付けられたのですね。

それでは、現在のアンテナ別の送信チャンネルはどうなっているのでしょうか。

推測では、元の上段にはNHK−G(34ch)とチバテレビ(30ch)と、残ったのはNTV(33ch)のみでしょうかね。TBS(36ch)は微妙ですね。

当中継局は、NHK−G以外は、東京基幹局(東京タワー → 東京スカイツリー)と同一チャンネルでの送信でしたが、
(NHK−Gは県域放送を視野に入れているため最初から別チャンネル、チバテレビは東京からは送信していないので除く)
それにしても、このタイミングでチャンネルリパックとは、混信で画像が乱れる地域があったのでしょうか。(確かデジタルでは、同一チャンネルでも
混信しないと聞きましたが、まだ、技術は未完成なのでしょうかね。)

余談ですが、NHKでは、いつでも千葉県で県域放送を始められるように、番組伝送のネットワークは船橋(三山)を拠点とする体制になっています。
アナログ時代のように、東京基幹局(当時は東京タワー)を親局とする中継局はありません。基幹局となる船橋の鉄塔にデジタルアンテナを
取り付ければ、(もちろん免許が必要ですが)すぐに県域放送が始められます。

 

パラボラを角度を変えて2枚。

左の画像で説明します。こちら向きの上下2基は、全社共用の船橋三山固定局ダイバシティTTL受け(3m)です。
右寄りに4基(うち1基は向こう向き)ありますが、こちら向きが下総光、横向きの上段(手前)が銚子、下段が小見川、
向こう向きのやや小さい(1.8m)ものが常陸鹿嶋へのTTLパラボラです。

 

 個別に見ます。


船橋三山受けスペースダイバシティ

手前から 下総光、銚子、小見川、奥が常陸鹿嶋送り

別角度から見た、下総光、銚子、小見川送り。

 


こちらは、常陸鹿嶋送りの1.8mパラボラです。これだけ小さいです。

 


局舎です。

表札です。

他サイトの画像を見ると、アナログ時代には成田中継局と同様の看板があったようです。
また、情報では、空港公団が建てた4中継局の看板形式は同じらしいです。

 


鉄塔下部(敷地)の様子です。

GPSです。

それと、当中継局には一時期モバキャス中継局が併設されていたとのことですが、既に廃局済みで、画像もないので触れないことにします。
(多分、鉄塔上部に送信アンテナと、局舎屋上辺りに受信パラボラがあったものと推測します。周波数、出力は下方に掲載します。)


最初のほうでも、当中継局の設置経緯について触れましたが、

成田空港会社のHPの中に「環境対策の実施」というページがあります。その中の電波障害対策の項目で詳しく説明されています。
要約しますと、

『空港周辺の世帯に対して、当時の空港公団は、1978年の開港当初よりフラッター防止アンテナを設置するという対策を
実施していましたが、航空機の大型化や増便により障害の範囲が拡大し、周辺市町村から、より効果的な対策を求められたため、
抜本的な対策としてテレビ中継局を設置し、フラッター障害の起こらないUHF波により送信するということを決めたということです。

それを受け、1993年11月に成田中継局、1995年1月に佐原中継局、同年2月には江戸崎中継局、さらに同年3月に
下総光中継局が開局しました。
また、受信側では、従来のフラッター防止アンテナからUHFアンテナへの切り替え、中継局をアンテナ受信できない地域に対しては、
共同受信施設の設備工事を進め、2005年3月までに対策を終えたとのことです。

一方、地上デジタル放送への移行に関しては、デジタル放送の電波は、航空機に起因する障害が基本的には発生しないことから、
テレビ中継局や共同受信施設を整備しないことを決めました。
ただ、既存施設の有効活用の観点から、佐原中継局と下総光中継局の2か所については、放送事業者へ譲渡されました。
共同受信施設についても住民組合に譲渡されたとのことです。

これにより、空港公団(現 空港会社)の電波障害対策は、基本的に終了したとのことです。』

航空機での電波障害のため設置されたアナログテレビ中継局
成田局 佐原局 下総光局 江戸崎局
設置場所  成田市大袋  香取市玉造  横芝光町篠本  稲敷市羽賀
送信鉄塔 高さ 162m 218m 114m 64m

デジタルでは、佐原中継局と下総光中継局が残り、成田中継局と江戸崎中継局が廃止された違いは、推測ですが、
中継局のエリアに東京基幹局(東京タワー、東京スカイツリー)のデジタル電波が十分に届くがどうかの差だと思います。

また、佐原中継局の鉄塔は、中継局の機能よりもTTL固定局として、千葉県北東部と茨城県南東部へ番組を送る
中継ポイントとして重要です。

 

中継局データ

アナログ NHK総合 NHK教育 NTV TBS CX EX TX チバテレビ
チャンネル 52ch 44ch 54ch 56ch 58ch 60ch 62ch 35ch
出力 各局とも 30W

当中継局では、すべてのチャンネルがアナアナ変更の対象でした。

変更前のチャンネルは、NHK−Gが29ch、NHK−Eが32ch、NTVが26ch、TBSが24ch、CXが22ch、EXが20ch、
TXが18ch、CTCが36chでした。

アナログテレビ放送は2011年7月24日をもって終了しました。


当中継局は、1995年1月末までは、佐原市平台の佐原公園北側にありました。

当時のチャンネルは、NHK−Gが51ch、NHK−Eが49ch、NTVが53ch、TBSが55ch、CXが57ch、EXが59h、
TXが61ch、CTCが33chでした。
また、出力は、CTCのみ5Wで、他局は3Wでした。


デジタル NHK総合 NHK教育 NTV TBS CX EX TX チバテレビ
チャンネル 34ch 39ch 33ch 36ch 42ch 43ch 45ch 30ch
リモコン
出力 各局とも 3W

当デジタル中継局では、2013年6月に、NHK−Gとチバテレビを除く各チャンネルでチャンネルリパックが行われました。

変更前のチャンネルは、NHK−Eが26ch、NTVが25ch、TBSが22ch、CXが21ch、EXが24ch、TXが23chでした。


モバキャス中継局  214.714286MHz  2.5KW

モバキャス放送は2016年6月末をもって廃局になりました。


当中継局は、節目節目で各種変更(アンテナの追加や撤去)が行われており、その都度訪問していれば、見応えがあったと思われます。


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