読売新聞の印刷工場表示  2019. 7.26 更新

「全国紙の版建て」でも触れましたが、読売新聞では、一面とテレビ欄に挟まれた欄外一番下に印刷工場が表示されています。その基本形は、工場名+機械番号(?)です。この表示がいつから始まったのかハッキリしませんが2000年代半ばと思われます。ただ、すべての工場で表示されているのかは未確認です。

各新聞社は、記事の締め切りや印刷関係の情報を明らかにしてきませんでしたので、どこの工場で刷られたかが一目で分かる印は画期的なことと、初めて見た時は驚きました。(最初見たのは、北陸工場のもので、富山では北陸工場で刷られているのは当たり前なので、ここだけのことかと思っていたら、東京地区の版でも同じでしたので、二度びっくりです。まあ、最近では同業者間での委託印刷が進んでいますので、秘密でもないのかもしれません。)

さて、最近では、このマークが気になり、旅先(特に、印刷工場の多い関東地方)のコンビニスタンドでは、版数よりも先に目がいきます。
どこの社が最初かとか、新聞社にとって何が目的なのかイマイチ分かりませんが、いくつもの新聞が似たような場所に記号を入れています。(ただ、読売のように明確に分かるのは少ないです。)

以前、東京スカイツリーを訪問した時、周辺のコンビニを何軒か見たところ、同じ地域版なのに別工場で刷られたものが置いてあり、読売新聞ってどんな印刷・配送体制なのかと、色々と想像しました。現在、東京都東部から千葉県にかけては、工場が4つもありますので、元々印刷部数が多いのだと思います。大都市部では、1つの地域版は、全部同じ工場で印刷という固定観念では、ダメですね。(長野県や新潟県など面積の広い県でも複数工場からの配送です。)

また、発行部数の少ない夕刊は、別の配送体制と想像します。(大都市部では、朝刊と夕刊では違う工場の場合もあると思いますし、平日・休日でも違う場合がありそうです。)


前置きが長くなりましたが、印刷工場表示を紹介します。

工場名は、さらに発見・購入すれば、その都度追加します。 (2019. 7.26 に追加しました。)

下記掲載の配達地域名は、推測も含んでいます。

 


「札幌」は、札幌市のお隣、北広島市にある大曲工場のことです。
当工場では、道央、道南、道北向けを印刷しています。

 


「帯広」は、帯広市にある地元紙、十勝毎日新聞社工場です。確か、朝日新聞も印刷していたと思います。
当工場では、道東向けを印刷しています。


「弘前」
は、青森県弘前市にある工場です。今回、画像を提供していただきました。ありがとうございます。


「仙台」は、宮城県大和町にある印刷会社工場です。
当工場は、東日本日本大震災後に新築された工場です。 今回、画像を提供していただきました。ありがとうございます。

 


「郡山」は、福島県郡山市にある印刷会社工場です。
当工場での印刷は、福島と新潟の各版を確認しています。

 


「栃木」は、栃木県栃木市にある印刷会社工場です。
当工場での印刷は、栃木版を確認しています。また、機械番号(?)表示が他と異なります。

 


「茨西」は、茨城県茨城町にある印刷会社工場です。
当工場では、茨城新聞も印刷しています。

 

  
「群馬」は、群馬県藤岡市にある印刷会社工場です。
当工場での印刷は、群馬、長野、新潟の各版を確認しています。 右画像の△のないほうは提供を受けました。

 


「新潟」は、新潟県の地元紙、新潟日報工場です。新潟県へは、これまで、群馬工場、郡山工場から輸送されていましたが、その一部を委託印刷に切り替えました。当工場での印刷は、新潟版を確認しています。

本題から外れますが、新潟日報社では、最初に日経を受託し、読売に続いて朝日も印刷しています。また、毎日も予定しています。さらに別の新聞も刷っているらしいです。全国紙を受託印刷(主に日経です)する地方新聞社はいくつもありますが、これほどの社(紙)を受け入れているところは、他にありません。どんな印刷体制なのか、大いに興味のあるところです。

 


「川越」は、埼玉県川越市にある印刷会社工場です。
当工場での印刷は、埼玉版を確認しています。また、機械番号(?)がありません。

 


「大手町」は、東京都千代田区にあった東京本社工場です。東京本社は建て替えられ、新本社は工場を持っていませんので、ある意味貴重です。これを持っているとはびっくりです。
なお、印刷部門は別会社だったのかは不明です。←多分、別会社。

 


「江東」は、江東区清澄にある子会社工場です。
当工場での印刷は、江東版を確認しています。

 


「塩浜」は、江東区塩浜にある印刷会社工場です。読売新聞以外に、東京新聞や東京中日スポーツ、その他業界紙・政党機関紙も印刷しているようです。
当工場での印刷は、江東版を確認しています。

 


「木場」は、江東区塩浜にある印刷会社工場です。鶴見工場も同じ会社の経営です。
当工場での印刷は、江東版を確認しています。

 


「府中」は、東京都府中市にある子会社工場です。ここの横を通ったことがありますが、巨大な建物です。
東京本社のバックアップ機能を備えていると聞いたことがあります。建物全体の名前は「読売新聞府中別館」ではなかったかと思います。
当工場での印刷は、東京、多摩、山梨、長野の各版を確認しています。

 


「北」は、東京都北区にある子会社工場です。
当工場では、東京版を印刷しています。

 


「鶴見」は、横浜市鶴見区にある印刷会社工場です。木場工場も同じ会社の経営です。
当工場での印刷は、湘南版を確認しています。他の版については未確認です。(多分、川崎版を印刷していると思います。)また、機械番号(?)がありません。

 


「横浜」は、横浜市瀬谷区にある子会社工場です。
当工場での印刷は、田園都市版を確認しています。他の版については未確認です。(多分、静岡版、横浜他地域版、相模版、湘南版を印刷していると思います。)

 


「清須」は、愛知県清須市にある印刷会社工場です。
当工場での印刷は岐阜版を確認しています。(多分、愛知、三重、静岡遠州の各版をを印刷していると思いますます。)

 


「北陸」は、富山県高岡市にあった子会社工場です。現在は閉鎖されています。

 


「富山」は、富山市にある地元紙、北日本新聞社工場です。北陸工場から外部委託に切り替わりました。スポーツ報知も印刷しています。
当工場での印刷は、富山、石川の各版を確認しています。

 


「京都」
は、京都市八幡市にある印刷会社工場です。神戸もこの会社の工場です。

 


「大阪」は、大阪市北区にある本社工場です。印刷部門は子会社化されているようです。

 

  
「茨」は、大阪・茨木工場と思われます。左側の2005年のものは表示形式が異なります。
右側の2013年のものは、他と同じです。

 

  
「神」は、神戸工場のマークと思われます。表示形式が異なります。印刷会社工場です。茨木・京都もこの会社の工場です。
右は、2015年に入手したものです。他の印刷所と形式が同じです。

 


「北九」は、北九州市小倉南区にある子会社工場です。
当工場では、北部九州向けと一部中国地方向けを印刷しています。

 


「鳥栖」は、佐賀県鳥栖市にある子会社工場です。
当工場では、一部北部九州向けと南九州向けを印刷しています。

 


参考資料です。 

読売新聞のホームページには、

東京本社管内には「大曲・帯広・弘前・仙台・郡山・栃木・茨城西・新潟・群馬・川越・江東・塩浜・木場・船橋・府中・港南・横浜・鶴見・東京北・富山・清須」の21工場

大阪本社管内には「大阪・茨木・高石・神戸・尾道・坂出・京都」の7工場

西部本社管内には「北九州・鳥栖」の2工場

の合わせて30の工場が掲載されています。

このうち、仙台は、仙台市宮城野区にあった仙台工場が東日本大震災で被災し再開不能になったため、新たに宮城県大和町に建設された新工場です。被災後、新工場が稼動するまでの間は、急遽河北新報と委託契約を結び印刷していた時期がありました。

帯広・新潟・富山も地元地方紙への委託印刷です。また、船橋は朝日新聞の工場です。逆に、坂出では朝日新聞を印刷しています。さらに、茨城西では茨城新聞を印刷しています。
それ以外の印刷工場を調べてみると、100%子会社や印刷会社への外注でした。今は自社直轄というのは無いようです。

以上、読売新聞の印刷工場でした。

最後に他紙のことも少し、朝日新聞に関しては、この種のマークがあるのは東京本社管内のみのようです。また、マークの位置や形式に統一性がなく分かりにくいです。他の全国紙にも、それらしいマークがあるものもありますが、印刷工場との関連性がはっきりしません。(資料が少ないのも一因です。)