私の多チャンネル化への道のり      

この文章は、1997年1月に書いたものを元にしています。したがって現在の状況とは、異なる部分があります。(大きく異なる部分には、注釈を入れました)


このコーナーでは、BS・CSに限らず地上波を含めた、私自身の多チャンネル化への体験と意見を
書いてみました。
私の多チャンネル化への道のりは、東京での学生生活を終え、地元に戻ってきた1984年春より
始まります。
学生時代には、テレビなどには、あまり興味がなく、(アパートで室内アンテナを接続して見ていたた
め、ゴーストで画質が最悪だったのが、主な原因だと思いますが・・・)
また、同じ電波系でも、アマチュア無線に興味があり、近郊の人と交信を楽しんでいました。
就職してからは、金銭的にも余裕ができ、もともとテレビに興味がなかったわけではないのですが、
番組を楽しむというより、なぜか放送を受信するということに熱中するようになりました。
(中学生の時に、国内の遠距離ラジオ局や海外短波放送の受信に、熱中していたのを思い出しまし
た。いわゆるBCLですが・・・。)
 
当時、富山の民放は、2局だけ(NTV系の北日本放送とフジ系の富山テレビ)で、高いアンテナを
立てれば、金沢の民放(TBS系の北陸放送)(金沢でも当時は、TBS系とフジ系のみでした。)が見
られるといった状態でした。(富山にTBS系の局が開局したのは、90年秋でした。→TUT)残るテレ
ビ朝日系は、一番近いのは、新潟の局(NT21)でした。東京での生活で、ひどい画質ながら多民放
に慣れていた私は、テレビ朝日系も見たくて、受信は無理かと思いながら、新潟方向へUHFの大ア
ンテナを立てました。

  
新潟方向のUHFアンテナ 1985年秋       左のアンテナを下から見ると

その結果、電波状態の良い春から秋にかけては、放送を楽しむことができました。この状態は、金沢
にテレビ朝日系の局(北陸朝日放送)が開局した91年秋まで続きました。 その間も、NHKがBSの
試験放送を始めると、これまた、すぐにパラボラを買ってきて、対応しました。(当時、住んでいた家
→私の実家は、市街地ながら受信環境が良く、 アンテナを立てる場所もありました。)以上が、多
チャンネル化の第一段階である、地上波民放局の遠距離受信と衛星放送受信の経緯です。
 
第二段階は、結婚して、市内の今の住居へ転居した92年春からで、当時、高岡では、ケーブルテレ
ビが開局してエリアを広げている真最中で、この年の秋に、わが家周辺が、サービスエリアに入ると
同時に加入しました。これで、チャンネル数は、放送再送信を含め、一気に25チャンネルとなりまし
た。(現在は、さらにチャンネル数が増えています)
 
 

転居後、ケーブルテレビ加入前のアンテナです。
(1992年 夏)  上・金沢向けUHF 下・高岡万葉局向け
ケーブルテレビ経由で、WOWOWや一部有料
チャンネルと契約していた時期がありましたが、
別料金という費用の点がネックとなり、これらに
は現在、加入していません。 (視聴料に対して
実際の視聴時間がきわめて少なく、時間単価が
高くついていました。→主に、映画を見たいため
に、これらと契約したわけですが、あまり見たい
映画が、放送されなかった。)
一方、基本料金で見られる番組には、多彩なも
のがありニュース系のチャンネルは、帰宅時間
 
がまちまちの私にとって、地上波でニュースのない時間に最適ですし、ドラマや映画は、 地上波の
番組がつまらないときや過去の名作が放送されるときに見ています。(私には、どちらかといえば、
やや昔の番組が、合っているようです。)
 

  
これもわが家のアンテナ?(高岡ケーブルネットワークのアンテナです)
左・北陸放送用 右・富山・呉羽山向け     こちらは、石川UHF用(石川テレビ・テレビ金沢・北陸朝日放送)

 

こちらは、CSアンテナです。(高岡ケーブルネットワーク)
いよいよ第三の段階が、CSの直接受信への取
り組みです。 地元ケーブルテレビで配信してい
ないCS放送のチャンネルもあり(例えば、朝日
ニュースターやBBCニュース)また、現在では、
地元ケーブルテレビで配信されています(注・現
在は、終了)が、当時は、まだ未配信だった「TV
Kテレビ神奈川」等の通信系CSチャンネル、さ
らには、専門誌で盛んに取り上げられていた民
放局のCS自営回線を見たくて、 価格も手ごろ
となった95年春に、通信系も受信できるCS
 
チューナーとアンテナ一式を通販で専門店より買い揃え、設置しました。また、それぞれ発信衛星が
違うため、別にパラボラを2基買い、 都合3基設置となりました。(今回も設置場所には、恵まれてい
ました)
 

当時のCSアンテナ群?
パラボラの設置や機器の調整・方向合わせは、
もともとの趣味(無線)やBSでの経験で簡単に
できました。(この作業自体が、また楽しみの一
つ!)とはいえ、CS放送自体は、有料かつ二種
類のデコーダーが必要なので、ノンスクランブル
の時間帯のみの視聴で我慢しています。(現在
でも) (注・アナログCSは、終了状態) また、民
放局のCS自営回線は、放送の裏側が覗け、興
味のある人にとっては、たいへん楽しいもので
す。事件や事故が発生すれば、現場と繋ぎっぱ
なしです。
 
ただ、これも次第にデジタル化され、受信できなくなると聞いています。(フジ系は、既にデジタル化)
(注・これも現在は、終了)
 
そして、昨年秋にスタートした衛星デジタル放送の受信と続きます。しかしながら、ここで問題となった
のは、デジタル放送の衛星は、さらに別方向ということで、 新たなパラボラが必要ですが、既にアン
テナが4基(ケーブルテレビでBSが映るにもかかわらず、加入前からあるアンテナを撤去せず直接
受信もしている)も設置してあり、 妻からも、近所から好奇の目で見られる等の苦情を言われました。
また、放送開始初期は、チューナーの品不足が続き、注文してから商品が届くまで、2か月以上もか
かりました。 (BSを設置しようとしたときも同じような現象がありました)余談はさておき、5基目のア
ンテナの件は、既設のパラボラの間隔を詰めたりしてスペースを作り、何とか設置にこぎつけました。
 
「Perfec TV!」についていえば、無料視聴期間にサービス中のチャンネルをくまなく見ましたが、地上波
のようにお金がかけられないのか、よい意味でも悪い意味でも、いろいろな番組があり、結構楽しめ
ました。 しかし、楽しめたのは、物珍しさのあった最初のうちだけで、段々つまらなくなり、見るチャン
ネルが固定化してきたため、当初はベーシック12チャンネルで契約(ケーブルテレビと重複するチャ
ンネルは除いた)したものの、 有料放送開始わずか半月で、BGM用の音楽系1チャンネルを残し、
すべて解約しました。(1月31日付で解約・変更処理)
これに至った理由は、番組自体の内容もそうですが、電子番組表を画面に呼出すのに時間がかか
また呼出しても、当日の番組しか分からず(←すべてを確認したわけではありませんが)視聴予定を
り、たてることができないため、 チャンネルから遠ざかっていったことも否めません。したがって、番
組時間を気にしなくてもよいBGM系の番組だけ残し、解約となったわけです。もちろん、「番組ガイド
ブック」もありますが、年間契約の有料で利用しにくいと思います。 月間の基本番組表ぐらいは、契
約チャンネル分だけでよいので、無料で送付してもらえればと思います。(注・現在は、請求書にパ
ンフレットあり)
多チャンネル化ということは、書店で雑誌を買うように、自分の趣味や興味にあった番組と付き合う
ということだと思いますが、雑誌に当てはめれば、「もくじ」や立ち読みもせず、買おうということはなか
なかできません。 また、ケーブルテレビにも引き続き加入していますので、その番組以上のものが
見当たりません。
他のグループを含め、この春以降のさらなる展開に期待しつつ、ふと思ったことがあります。地方に
住むものにとっては、地上波の民放系列が完成していないにもかかわらず、多チャンネルと騒いで
いても、それは、結局のところ、 中央でのおこぼれにあずかっているだけではないか、という疑問で
す。というのも、衛星を利用すれば、確かに全国一律のサービスが提供できますが、基本となる民放
局の数が、1、2局少ないのですから・・・。 衛星利用(「CS★日テレ」のように)あるいは、今はやりの
規制緩和の流れで、複数県相乗りの民放局によって、地上波の完全5系列化の完成のほうが、優先
(あるいは、同時並行)ではないかと考えます。
 
テレビ東京系を除く4局化の流れを見ても、まもなく山形と高知(どちらもフジ系)が開局しますが、そ
の後の開局予定は、ないそうです。(注・その後、とちぎテレビが開局)しかし、私の住む富山を含め
て、まだ4局化されていない地域が、東北・北陸・九州などにあります。) 民放地方局の設立は、地域
の経済力と密接な関係があり、経済力の弱い県が、取り残されているのだと思いますが、衛星利用
をするなりして、系列全体で取り組んでほしいものです。特に、テレビ東京系は、大都市圏以外では、
見ることはできないので、同局こそが、新たに各地に系列局を設けることなく、衛星を最大限に利用
すべきだと思います。
日本テレビは、次期BSを睨んだ技術の確立が主な目的らしく、「Perfec TV!」での「CS★日テレ」は、
権利の関係もあるでしょうが、休止時間や差し替えも多く、そのまま地上局の代わりというわけには、
いかないと思います。また、今後とも継続されるのか不確定だと私は、見ています。(注・予想通りBS
へ移行) また、今後のCS放送の発展のためには、それぞれのグループごとに個別の衛星を利用す
るのではなく、一機の衛星から同一の伝送方式で複数グループが、競い合うような形にしないと、共
倒れは確実だと思います。
現に、二機の衛星から個別に放送している現在のアナログ方式のCS放送は、単にケーブルテレビ
向けの配信機構のような形でしかなく、社会的認知も低いままです。この二の舞いにならないように
祈っております。 日本では一般的に、テレビは、NHKを除き無料だと思われていますので、衛星放
送であれ、ケーブルテレビであれ、放送番組に、お金を支払ってもよいという人は、既に何らかの有
料テレビに加入しているのではないでしょうか。
また、1か月当たり1世帯の、新聞とNHKを含めた娯楽・情報系の支出は、1万円ぐらいのものと思
いますので、さらに、機器を購入したうえで、複数の有料テレビと契約する人は、ごくわずかではない
かと思います。 したがって、今後、その人たちを取り合うのではなく、未加入の人たちの興味を引く
番組で取り込めるかが、デジタル衛星放送の発展の分かれ目であり、それぞれのグループの消長の
決め手だと思います。 逆にいえば、日本では、それほど地上系の特に民放の力が強大ということで
す。
以上が、わたし自身の多チャンネル化への道のりです。

1997年1月25日  


21世紀を間近かに控え、およそ4年前に書いた文章を読み返してみると、その後の展開は、私の予
想に近い形で進んでいるような気がします。12月には、いよいよBSデジタル放送がスタートします。
地元高岡のケーブルテレビでは、民放系の5チャンネルすべてが、本放送開始とともにアナログ変換
で再送信されますので、取りあえずは、チューナーを買わずにBSデジタル放送が楽しめることになり
ます。
 
また折に触れて、このような文章を寄せたいと思います。(注・は、 2000年11月18日付けで当時
と大きく異なる部分に注釈を入れました。)

2000.11.18改訂