3大都市のデジタルアンテナ建設について

昨年12月から3大都市圏で始まった地上デジタル放送では、これまでの放送とは周波数や伝送方式が異なるため送信アンテナを新設する必要があります。その建設方式が各地域バラバラで、比べてみると面白いです。どの地域も基本は、あまり経費をかけず、できれば共同で設置する方針のようです。
蝶が羽を広げたような形のスーパーターンスタイルのアンテナが消えるのは、寂しいですね。(NHK−FMなどでは、一部残ると思いますが・・・。)

それでは、順番に見ていきます。

東京は既存施設の東京タワーに各社共同でアンテナを取り付けました。
東京地区は、昭和30年代の草創期を除き、共同で鉄塔を利用してきた地域です。また現時点では適当な用地が見つからないため既存施設の利用ですが、このままでは、基幹局のみで十分な放送エリアを確保できないため、もっと高いタワーを別の場所に共同で建てるという話もあります。移転した場合、東京タワーを経営する日本電波塔株式会社は賃貸収入が入らず、打撃を受けることになります。

大阪地区は、背後に送信塔を設置するのに適した生駒山があるため、各社ごとに送信塔を持っています。そのためデジタル化に際しても、各社ごとにアンテナを設置しました。また、その方法もバラバラです。
YTVは、ちょうど設備が更新時期だったため、アナログ・デジタルの共用タワーを新築しました。
NHKは、既存のタワーを利用できなかったため敷地内にデジタルタワーを新築しました。
ABCとKTVは、既存のタワーにデジタルアンテナを取り付けました。
TVOは、割り当てられたチャンネルがアナログ波とデジタル波とで1チャンネルしか違わないので、多分、既存の設備をほんの少し改造するだけで、そのままアンテナを利用できたのではないかと思います。
MBSは、自社タワーに設置スペースがなかったのかYTVのタワーを借りて同居させてもらいました。
また各社のアンテナ形式もバラバラですので、性能の差(電波の飛びの差)があるのか興味のあるところです。

一方、名古屋地区は、アナログ放送ではVHF波が名古屋テレビ塔から、UHF波が中京テレビ鉄塔から送信されていますが、ともに既存のタワーにデジタルアンテナを取りつけることができず、また、デジタル波と同じ周波数帯のUHF鉄塔がある東山地区には、新たな高層建築物を建設できないため、全く別の場所である瀬戸市に共同でタワーを新築し、そこからデジタル波を送信しています。
送信位置がこれまでとは大きく異なるため、受信者にとっては、チューナー購入はもとより、UHFアンテナも準備し、瀬戸市方向に向ける必要があります。
送信所の移転に伴い、名古屋テレビ塔には、賃貸収入が途絶えることになります。(もしかしたら、アナログ放送終了後は、FM放送が中京テレビ鉄塔から移ってくるかもしれません。)

このように3地域三様なので、これから放送を開始する地域にとっては、ある意味参考になるでしょう。

この秋に放送が始まる富山は、と言えば大阪方式です。KNBは、既存のタワーの中間部に胴巻き状にアンテナを設置しましたし、NHKは既存のタワーにスペースがなかったので敷地内に専用タワーを新築しました。
両方の高さを比べると、新築のNHKの方が高いので、またまた電波の飛びが気になります。他の二社はどうするのか、今のところ情報がありません。

また、情報は少ないのですが、静岡・広島・水戸では、名古屋方式のようです。ただし、静岡・広島は、名古屋のように全く別の場所ではなく既存の送信所の隣接地です。水戸は、元々テレビ塔(基幹局)がありませんので新築です。神戸・新潟は、大阪方式のようです。


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